« 3月13日の「聖書と典礼」 | トップページ | 神父からのメッセージ »

2016年3月19日 (土)

3月20日の「聖書と典礼」

3月20日『受難の主日(枝の主日)

父よ、わたしの霊を御手にゆだねます。

(ルカによる福音2346節より)

 

入城の福音        ルカによる福音

(19章2840節)

                              エルサレムが間近に迫ったとき、人々の中に神の王国がすぐに来るという期待が高まったが、イエスはそれを戒め(ルカによる福音1911-27節)、エルサレムに入る。

ルカによる福音

28〔そのとき、〕イエスは先に立って進み、エルサレムに上って行かれた。29そして、「オリーブ畑」と呼ばれる山のふもとにあるベトファゲとベタニアに近づいたとき、二人の弟子を使いに出そうとして、30言われた。「向こうの村へ行きなさい。そこに入ると、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。それをほどいて、引いて来なさい。31もし、だれかが、『なぜほどくのか』と尋ねたら、『主がお入り用なのです』と言いなさい。」32使いに出された者たちが出かけて行くと、言われたとおりであった。33ろばの子をほどいていると、その持ち主たちが、「なぜ、子ろばをほどくのか」と言った。34二人は、「主がお入り用なのです」と言った。35そして、子ろばをイエスのところに引いて来て、その上に自分の服をかけ、イエスをお乗せした。36イエスが進んで行かれると、人々は自分の服を道に敷いた。
37イエスがオリーブ山の下り坂にさしかかられたとき、弟子の群れはこぞって、自分の見たあらゆる奇跡のことで喜び、声高らかに神を賛美し始めた。
38「主の名によって来られる方、王に、
 祝福があるように。
 天には平和、
 いと高きところには栄光。」
39すると、ファリサイ派のある人々が、群衆の中からイエスに向かって、「先生、お弟子たちを叱ってください」と言った。40イエスはお答えになった。「言っておくが、もしこの人たちが黙れば、石が叫びだす。」

(註)30小ろば・・・・・・「だれも乗ったことのない、つながれた小ろば]への言及はマタイによる福音書212節、マルコによる福音書112節とも共通する。これにイエスが乗ることにメシア(救い主である王)の到来が示されると解されている。

(註)34主がお入り用なのです・・・・・・ルカによる福音書はこのことばを再度示し、「主」を強調する。

(註)38主の名によって~・・・・・・詩編11826節の言葉からとられているが、ルカによる福音書はほかの福音書にある「ホサナ」という叫びを省き「王」「平和」「栄光」ということばに加えて、この出来事の意味を明らかにしている。なお、ルカによる福音書214節も参照。

(註)40石が叫びだす・・・・・・人々の叫びは誰も押さえることはできない。つまり神のみ旨であるという意味。

 

第一朗読         イザヤ書

(50章47節)

  イザヤ書の4055章は第2イザヤと呼ばれるが、その中に「主の僕の歌」と呼ばれるものが四つある(421-4節、491-6節、504-9節、5213節~5312)。この個所はその第三のもの。この「僕」は、預言者自身のようでもあり、来るべきメシアのようでもあるが、なによりもイエス・キリスト(特にその受難)の姿を思わせる。

 イザヤの預言

4主なる神は、弟子としての舌をわたしに与え
疲れた人を励ますように
言葉を呼び覚ましてくださる。
朝ごとにわたしの耳を呼び覚まし
弟子として聞き従うようにしてくださる。
5主なる神はわたしの耳を開かれた。
わたしは逆らわず、退かなかった。
6打とうとする者には背中をまかせ
ひげを抜こうとする者には頬をまかせた。
顔を隠さずに、嘲りと唾を受けた。
7主なる神が助けてくださるから
わたしはそれを嘲りとは思わない。
わたしは顔を硬い石のようにする。
わたしは知っている
わたしが辱められることはない、と。
 

(註)4弟子としての舌を・・・・・・僕の使命は、言葉を通してなされる預言者的なものである。

(註)6打とうとする者には~・・・・・・僕の苦難については第四の歌に詳しい(5213節以下)。

(註)7顔を硬い石のように・・・・・・迫害に屈服しないさまを表す。

 

第二朗読       フィリピの信徒への手紙

(2章611節)

 互いに愛し合い、へりくだることをパウロは訴え、キリストの模範を思い起こさせる。初代教会のキリスト賛歌が引用されていると考えられている。

使徒パウロのフィリピの教会への手紙

6〔イエス・〕キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、7かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、8へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。9このため、神はキリストを高く上げ、あらゆる名にまさる名をお与えになりました。10こうして、天上のもの、地上のもの、地下のものがすべて、イエスの御名にひざまずき、11すべての舌が、「イエス・キリストは主である」と公に宣べて、父である神をたたえるのです。

(註)6身分・・・・・・この言葉(モルフェー)の本来の意味は「形、姿」だが、外観のみならず内容・実質をも意味する。7節の「身分」も同じ語。これに対して、7節で「姿」と訳された語(スケーマ)は外にあらわれた形、形状を指す。

(註)8十字架の死に至るまで・・・・・・この言葉は、パウロが元の賛歌に加えたものと考えられている。

 

 

* 受難の朗読     ルカによる福音

(23章149節)

 逮捕されたイエスは最高法院で裁かれ、自分をメシアと称して神を冒瀆したとされた。

 ルカによる主イエス・キリストの受難

 <註>印はキリスト(司式司祭)Cは語り手(1朗読者)Sは群衆(数人、あるいは回収一同)Aは他の登場人物(2朗読者)

                                                                                                                                                                                                                                         
 

 
 

〔そのとき、民の長老会、祭司長たちや律法学者たちは〕1立ち上がり、イエスをピラトのもとに連れて行った。2そして、イエスをこう訴え始めた。

 
 

 
 

「この男はわが民族を惑わし、皇帝に税を納めるのを禁じ、また、自分が王たるメシアだと言っていることが分かりました。」

 
 

 
 

3そこで、ピラトがイエスに尋問した。

 
 

 
 

「お前がユダヤ人の王なのか。」

 
 

 
 

イエスはお答えになった。

 
 

 
 

「それは、あなたが言っていることです。」

 
 

 
 

4ピラトは祭司長たちと群衆に言った。

 
 

 
 

「わたしはこの男に何の罪も見いだせない。」

 
 

 
 

5しかし彼らは言い張った。

 
 

 
 

「この男は、ガリラヤから始めてこの都に至るまで、ユダヤ全土で教えながら、民衆を扇動しているのです。」

 
 

 
 

6これを聞いたピラトは、この人はガリラヤ人かと尋ね、7ヘロデの支配下にあることを知ると、イエスをヘロデのもとに送った。ヘロデも当時、エルサレムに滞在していたのである。8彼はイエスを見ると、非常に喜んだ。というのは、イエスのうわさを聞いて、ずっと以前から会いたいと思っていたし、イエスが何かしるしを行うのを見たいと望んでいたからである。9それで、いろいろと尋問したが、イエスは何もお答えにならなかった。10祭司長たちと律法学者たちはそこにいて、イエスを激しく訴えた。11ヘロデも自分の兵士たちと一緒にイエスをあざけり、侮辱したあげく、派手な衣を着せてピラトに送り返した。12この日、ヘロデとピラトは仲がよくなった。それまでは互いに敵対していたのである。
 
13ピラトは、祭司長たちと議員たちと民衆とを呼び集めて、 14言った。

 
 

 
 

「あなたたちは、この男を民衆を惑わす者としてわたしのところに連れて来た。わたしはあなたたちの前で取り調べたが、訴えているような犯罪はこの男には何も見つからなかった。15ヘロデとても同じであった。それで、我々のもとに送り返してきたのだが、この男は死刑に当たるようなことは何もしていない。16だから、鞭で懲らしめて釈放しよう。」

 
 

 
 

18しかし、人々は一斉に叫んだ。

 
 

 
 

「その男を殺せ。バラバを釈放しろ。」

 
 

 
 

19このバラバは、都に起こった暴動と殺人のかどで投獄されていたのである。20ピラトはイエスを釈放しようと思って、改めて呼びかけた。21しかし人々は叫び続けた。

 
 

 
 

「十字架につけろ、十字架につけろ。」

 
 

 
 

22ピラトは三度目に言った。

 
 

 
 

「いったい、どんな悪事を働いたと言うのか。この男には死刑に当たる犯罪は何も見つからなかった。だから、鞭で懲らしめて釈放しよう。」

 
 

 
 

23ところが人々は、イエスを十字架につけるようにあくまでも大声で要求し続けた。その声はますます強くなった。24そこで、ピラトは彼らの要求をいれる決定を下した。25そして、暴動と殺人のかどで投獄されていたバラバを要求どおりに釈放し、イエスの方は彼らに引き渡して、好きなようにさせた。
 
26人々はイエスを引いて行く途中、田舎から出て来たシモンというキレネ人を捕まえて、十字架を背負わせ、イエスの後ろから運ばせた。27民衆と嘆き悲しむ婦人たちが大きな群れを成して、イエスに従った。28イエスは婦人たちの方を振り向いて言われた。

 
 

 
 

「エルサレムの娘たち、わたしのために泣くな。
 
むしろ、自分と自分の子供たちのために泣け。
 
29人々が、『子を産めない女、産んだことのない胎、乳を飲ませたことのない乳房は幸いだ』と言う日が来る。
 
30そのとき、人々は山に向かっては、
 
『我々の上に崩れ落ちてくれ』と言い、
 
丘に向かっては、
 
『我々を覆ってくれ』と言い始める。
 
31『生の木』さえこうされるのなら、『枯れた木』はいったいどうなるのだろうか。」

 
 

 
 

32ほかにも、二人の犯罪人が、イエスと一緒に死刑にされるために、引かれて行った。33「されこうべ」と呼ばれている所に来ると、そこで人々はイエスを十字架につけた。犯罪人も、一人は右に一人は左に、十字架につけた。34そのとき、イエスは言われた。

 
 

 
 

「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」

 
 

 
 

人々はくじを引いて、イエスの服を分け合った。
 
35民衆は立って見つめていた。議員たちも、あざ笑って言った。

 
 

 
 

「他人を救ったのだ。もし神からのメシアで、選ばれた者なら、自分を救うがよい。」

 
 

 
 

36兵士たちもイエスに近寄り、酸いぶどう酒を突きつけながら侮辱して、37言った。

 
 

 
 

「お前がユダヤ人の王なら、自分を救ってみろ。」

 
 

 
 

38イエスの頭の上には、「これはユダヤ人の王」と書いた札も掲げてあった。
 
39十字架にかけられていた犯罪人の一人が、イエスをののしった。

 
 

 
 

「お前はメシアではないか。自分自身と我々を救ってみろ。」

 
 

 
 

40すると、もう一人の方がたしなめた。

 
 

 
 

「お前は神をも恐れないのか、同じ刑罰を受けているのに。41我々は、自分のやったことの報いを受けているのだから、当然だ。しかし、この方は何も悪いことをしていない。」

 
 

 
 

42そして、言った。

 
 

 
 

「イエスよ、あなたの御国においでになるときには、わたしを思い出してください。」

 
 

 
 

43すると、イエスは言われた。

 
 

 
 

「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる。」

 
 

 
 

44既に昼の十二時ごろであった。全地は暗くなり、それが三時まで続いた。45太陽は光を失っていた。神殿の垂れ幕が真ん中から裂けた。
 
46イエスは大声で叫ばれた。

 
 

 
 

「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます。」

 
 

 
 

こう言って息を引き取られた。
 
     (頭を下げて、しばらく沈黙のうちに祈る)
 
47百人隊長はこの出来事を見て、神を賛美して言った。

 
 

 
 

「本当に、この人は正しい人だった。」

 
 

 
 

48見物に集まっていた群衆も皆、これらの出来事を見て、胸を打ちながら帰って行った。イエスを知っていたすべての人たちと、ガリラヤから従って来た婦人たちとは遠くに立って、これらのことを見ていた。  

 

(註) 1ピラト・・・・・・紀元2636年まで、ユダヤ、サマリア、イドマヤの総督として統治した。

(註) 2皇帝に税を納めるのを禁じ・・・・・・ローマ帝国に対する反逆を意味するが、これは偽証である。イエスはそう言わなかった(ルカによる福音書202026節)。

(註) 王たるメシア・・・・・・メシアについては、226671節参照。「王」と言うことによって、ローマ帝国の支配に対する反逆者であることを強調している。

(註) 3あなたが言っている・・・・・・これは、はっきりとした肯定でも否定でもない言い方。

(註) 7ヘロデ・・・・・・ガリラヤの領主、ヘロデ・アンティパスのこと。612節のヘロデの話はルカによる福音書だけが伝えるもの。

(註) 8喜んだ・・・・・・ヘロデがイエスに会いたいと願ったのは興味本位からであろう。

(註)16鞭で懲らしめて・・・・・・今後2度とこのような騒動を起こさないように、という警告の意味がある。

(註)18バラバ・・・・・・「アバの子」という意味で、ユダヤには多い名前。

(註)21十字架・・・・・・ローマの死刑の中でも特に残酷な刑であり、ローマ市民権を持つ者には適用されなかった。植民地の、特にローマに対する反逆者に適用された。見せしめとしての性格を持つ。

(註)22三度目に・・・・・・ルカ福音書はピラトがイエスの無罪を主張したことを強調している。

(註)26シモンというキレネ人・・・・・・マルコによる福音書1521節参照。キレネはギリシアの対岸にある北アフリカの都市。

(註)2831エルサレムの娘たち~・・・・・・ルカによる福音書だけが伝えるイエスのことば。紀元70年に実際に起こるエルサレムの滅亡を預言しているようである。

(註)29子を産めない女~幸いだ・・・・・・子どもがいれば、自分の子どもについての苦しみが増し加わるからである。

(註)30そのとき、人々は~・・・・・・その苦しみが死よりもひどいものであることを示す。ホセア書108節からの表現。

(註)31生の木 枯れた木・・・・・・「生に木」は十字架に向かう罪のないイエスご自身、「枯れた木」は罪びとである普通のユダヤ人たちのことであろう。

(註)33されこうべ・・・・・・アラム語で「ゴルゴタ」。

(註)34服を分け合った・・・・・・詩編2219節参照。

(註)35神からのメシアで、選ばれた者・・・・・・「神からのメシア」はルカによる福音書920節、「選ばれた者」は935節に出る表現。

(註)36酸いぶどう酒・・・・・・気付け薬のようなもので、苦痛を引き延ばすことになる。

(註)38これはユダヤ人の王・・・・・・イエスはローマ帝国に反逆した政治犯として死刑になったことを示している。

(註)4043・・・・・・この部分はルカによる福音書だけが伝える個所。

(註)42御国においでになる・・・・・・別の写本では「王権を持って来られる」となっている。

(註)45神殿の垂れ幕が~・・・・・・イエスの死によって、神と人とを隔てていたものが取り払われることを象徴的に示す。

(註)46父よ、わたしの霊を~・・・・・・詩編316節のことば。詩編では「父よ」ではなく、「まことの神、主よ」となっている。

(註)47百人隊長・・・・・・ローマ軍の百人隊の長。

(註) 正しい人・・・・・・マタイによる福音書、マルコによる福音書では「神の子」と言う。

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」2016・ 3・20より)

« 3月13日の「聖書と典礼」 | トップページ | 神父からのメッセージ »