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2016年7月29日 (金)

7月31日の「聖書と典礼」

731() 年間第18主日  (C年)

上にあるものを求めよ。そこには、キリストがおられる。

(第2朗読主題句 コロサイの信徒への手紙 31節より)

 

 

〔本書は「伝道の書」とも言われるが、コレヘトとは「集会の指導者」の意味であろう。本書の冒頭にある「エルサレムの王、ダビデの子、コレヘト」は紀元前十世紀のソロモン王を指すが、本書は実際には紀元前三世紀ごろに書かれたものである。人生の空しさを語る本書の結論は、「神を畏れ、その戒めを守れ」(1213)であった。〕

第一朗読         コヘレトの言葉

人間が苦労してみても何になろう。

(1章2節、2章2123節)

                             コヘレトの言葉

 12コヘレトは言う。
 なんという空しさ
 なんという空しさ、すべては空しい。

221知恵と知識と才能を尽くして労苦した結果を、まったく労苦しなかった者に遺産として与えなければならないのか。これまた空しく大いに不幸なことだ。22まことに、人間が太陽の下で心の苦しみに耐え、労苦してみても何になろう。一生、人の務めは痛みと悩み。夜も心は休まらない。これまた、実に空しいことだ。

 

 

 〔人間の規則や教えによる空しい戒律(22023節参照)に惑わされないようにと、パウロは語りかける。〕

第二朗読      コロサイの信徒への手紙

上にあるものを求めよ。そこには、キリストがおられる。

(3章15節、911節)

 使徒パウロのコロサイの教会への手紙

* 1〔皆さん、〕あなたがたは、キリストと共に復活させられたのですから、上にあるものを求めなさい。そこでは、キリストが神の右の座に着いておられます。2上にあるものに心を留め、地上のものに心を引かれないようにしなさい。3あなたがたは死んだのであって、あなたがたの命は、キリストと共に神の内に隠されているのです。4あなたがたの命であるキリストが現れるとき、あなたがたも、キリストと共に栄光に包まれて現れるでしょう。
 
5だから、地上的なもの、すなわち、みだらな行い、不潔な行い、情欲、悪い欲望、および貪欲を捨て去りなさい。貪欲は偶像礼拝にほかならない。
 9互いにうそをついてはなりません。古い人をその行いと共に脱ぎ捨て、10造り主の姿に倣う新しい人を身に着け、日々新たにされて、真の知識に達するのです。11そこには、もはや、ギリシア人とユダヤ人、割礼を受けた者と受けていない者、未開人、スキタイ人、奴隷、自由な身分の者の区別はありません。キリストがすべてであり、すべてのもののうちにおられるのです。

() 1復活させられた……キリスト者は、「洗礼によって、キリストと共に葬られ、また、キリストを死者の中から復活させた神の力を信じて、キリストと共に復活させられた」(212節)者である。

() 5偶像礼拝……神でないものを神としてあがめること。富への執着は、富を神とすることになる。

()11未開人……元は、ギリシャ語を話さない人の意味。

(スキタイ人……好戦的な遊牧民族として知られる。ここでは未開人の代表。

 

 

〔エルサレムに向かうイエスのもとに多くの人が集まってきた。この人々にイエスは神への信頼を求める。〕

福音朗読        ルカによる福音書

お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか。

(12章1321節)

 ルカによる福音

  〔そのとき、〕群衆の一人が言った。「先生、わたしにも遺産を分けてくれるように兄弟に言ってください。」イエスはその人に言われた。「だれがわたしを、あなたがたの裁判官や調停人に任命したのか。」そして、一同に言われた。「どんな貪欲にも注意を払い、用心しなさい。有り余るほど物を持っていても、人の命は財産によってどうすることもできないからである。」それから、イエスはたとえを話された。「ある金持ちの畑が豊作だった。金持ちは、『どうしよう。作物をしまっておく場所がない』と思い巡らしたが、やがて言った。『こうしよう。倉を壊して、もっと大きいのを建て、そこに穀物や財産をみなしまい、こう自分に言ってやるのだ。「さあ、これから先何年も生きて行くだけの蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめ」と。』しかし神は、『愚かな者よ、今夜、お前の命は取り上げられる。お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか』と言われた。自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない者はこのとおりだ。」

()13遺産を分けて……当時のユダヤ人は、このような問題についても律法学者に相談するのが常であった。

()1621ある金持ちの~……このたとえは、シラ書111921節を思い出させる。そこでは、富を蓄え、「これで安心だ。自分の財産で食っていけるぞ」という者に対して、「主を信じて、お前の労働を続けよ」と言われている。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」2016731より)

2016年7月22日 (金)

7月24日の「聖書と典礼」

724() 年間第17主日  (C年)

求めなさい。そうすれば、与えられる。

(福音朗読主題句 ルカによる福音書119節より)

 

 

 〔マムレ(ユダの山地にある)でアブラハムに現れた三人の旅人は、イサクの誕生を告げた(先週の第1朗読)。アブラハムはその人たちを見送って、ソドムを見下ろす場所まで来た。〕

第一朗読            創世記 

主よ、どうかお怒りにならずに、もう少し言わせてください。

(18章2032節)

創世記

20〔その日、〕主は言われた。
 「ソドムとゴモラの罪は非常に重い、と訴える叫びが実に大きい。
21わたしは降って行き、彼らの行跡が、果たして、わたしに届いた叫びのとおりかどうか見て確かめよう。」
22その人たちは、更にソドムの方へ向かったが、アブラハムはなお、主の御前にいた。23アブラハムは進み出て言った。
 「まことにあなたは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。
24あの町に正しい者が五十人いるとしても、それでも滅ぼし、その五十人の正しい者のために、町をお赦しにはならないのですか。25正しい者を悪い者と一緒に殺し、正しい者を悪い者と同じ目に遭わせるようなことを、あなたがなさるはずはございません。全くありえないことです。全世界を裁くお方は、正義を行われるべきではありませんか。」
26主は言われた。
 「もしソドムの町に正しい者が五十人いるならば、その者たちのために、町全部を赦そう。」
27アブラハムは答えた。
 「塵あくたにすぎないわたしですが、あえて、わが主に申し上げます。
28もしかすると、五十人の正しい者に五人足りないかもしれません。それでもあなたは、五人足りないために、町のすべてを滅ぼされますか。」
 主は言われた。
 「もし、四十五人いれば滅ぼさない。」
29アブラハムは重ねて言った。
 「もしかすると、四十人しかいないかもしれません。」
 主は言われた。
 「その四十人のためにわたしはそれをしない。」
30アブラハムは言った。
 「主よ、どうかお怒りにならずに、もう少し言わせてください。もしかすると、そこには三十人しかいないかもしれません。」
 主は言われた。
 「もし三十人いるならわたしはそれをしない。」
31アブラハムは言った。
 「あえて、わが主に申し上げます。もしかすると、二十人しかいないかもしれません。」
 主は言われた。
 「その二十人のためにわたしは滅ぼさない。」
32アブラハムは言った。
 「主よ、どうかお怒りにならずに、もう一度だけ言わせてください。もしかすると、十人しかいないかもしれません。」
 主は言われた。
 「その十人のためにわたしは滅ぼさない。」

()20ソドムとゴモラ……死海の南東部に位置していたらしい。死海の底に沈んだと考えられている。

()22その人たち……アブラハムに現れた三人の人は、神ご自身と二人の天使のようである。二人の天使はソドムに向かい、神はアブラハムの前に残られた。

()32その十人のためにわたしは滅ぼさない……対話はここで終わっている。結局、ソドムの町は滅ぼされてしまうが、アブラハムの甥のロトとその家族は二人の天使によって救い出される。

 

 

 〔人を欺く哲学やユダヤ教の習慣に惑わされることなく、キリストに結ばれて生きることをパウロは求める。〕

第二朗読      コロサイの信徒への手紙

神はあなたがたをキリストと共に生かし、一切の罪を許してくださった。

(2章1214節)

                             使徒パウロのコロサイの教会への手紙

12〔皆さん、あなたがたは、〕洗礼によって、キリストと共に葬られ、また、キリストを死者の中から復活させた神の力を信じて、キリストと共に復活させられたのです。13肉に割礼を受けず、罪の中にいて死んでいたあなたがたを、神はキリストと共に生かしてくださったのです。神は、わたしたちの一切の罪を赦し、14規則によってわたしたちを訴えて不利に陥れていた証書を破棄し、これを十字架に釘付けにして取り除いてくださいました。

()12洗礼……原語「バプテスマ」の本来の意味は「沈める、浸す」(ローマの信徒への手紙6311節参照)。水に沈められることには、死のイメージがある。

()13割礼……イスラエルの民の一員であることを示すしるし。

()14規則によって~証書……律法に違反した罰を意味する象徴的な表現。イエスは十字架で、この罰をすべてご自分の身に引き受けた。

 

 

 〔イエスが弟子たちに、祈りについて教えたことばを集めた個所。一貫して、神に対する絶対的な信頼が説かれる。〕

福音朗読        ルカによる福音書

求めなさい。そうすれば、与えられる。

(11章113節)

ルカによる福音

 1イエスはある所で祈っておられた。祈りが終わると、弟子の一人がイエスに、「主よ、ヨハネが弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈りを教えてください」と言った。2そこで、イエスは言われた。「祈るときには、こう言いなさい。
 『父よ、
 御名が崇められますように。
 御国が来ますように。
3わたしたちに必要な糧を毎日与えてください。
4わたしたちの罪を赦してください、
 わたしたちも自分に負い目のある人を
 皆赦しますから。
 わたしたちを誘惑に遭わせないでください。』」
5また、弟子たちに言われた。「あなたがたのうちのだれかに友達がいて、真夜中にその人のところに行き、次のように言ったとしよう。『友よ、パンを三つ貸してください。6旅行中の友達がわたしのところに立ち寄ったが、何も出すものがないのです。』すると、7その人は家の中から答えるにちがいない。『面倒をかけないでください。もう戸は閉めたし、子供たちはわたしのそばで寝ています。起きてあなたに何かをあげるわけにはいきません。』8しかし、言っておく。その人は、友達だからということでは起きて何か与えるようなことはなくても、しつように頼めば、起きて来て必要なものは何でも与えるであろう。9そこで、わたしは言っておく。求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。10だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。11あなたがたの中に、魚を欲しがる子供に、魚の代わりに蛇を与える父親がいるだろうか。12また、卵を欲しがるのに、さそりを与える父親がいるだろうか。13このように、あなたがたは悪い者でありながらも、自分の子供には良い物を与えることを知っている。まして天の父は求める者に聖霊を与えてくださる。」

() 1ヨハネ……洗礼者ヨハネ。

()2-4父よ~……マタイはこの祈りを別の形で伝えている(マタイによる福音書6913節)。わたしたちがミサで唱えている「主の祈り」はマタイの形である。

() 2御名……単なる呼び名のことではなく、そのものの実態と深く結び付いている。ここでは神ご自身のことと言ってもよい。

() 3必要な……「日々の」「明日の」などとも訳される。

() 4誘惑に遭わせないでください……フランシスコ会訳では、「誘惑に陥らないように導いてください」と訳されている。

() 9-13求めなさい~……マタイによる福音書7711節参照。

()13聖霊を……マタイによる福音書711節では「良い物を」となっている。ルカによる福音書の中でも、使徒言行録の中でも聖霊の働きを強調するが、聖霊とは、もっとも素朴に言えば「神の力」である(ルカによる福音書135節、2449節、使徒言行録18節参照)。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」2016724より)

2016年7月15日 (金)

7月17日の「聖書と典礼」

717() 年間第16主日  (C年)

お客様、僕(しもべ)のもとを通り過ぎないでください。

(第1朗読主題句 創世記 183節より)

 

 

 〔「あなたは多くの国民の父となる」という神の約束を受けたとき、アブラハムは百歳になっており、九十歳の妻サラには子供がなかった。〕

第一朗読            創世記 

お客様、僕のもとを通り過ぎないでください。

( 創世記 18章110節a)

                             創世記

 〔その日、〕主はマムレの樫の木の所でアブラハムに現れた。暑い真昼に、アブラハムは天幕の入り口に座っていた。2目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。アブラハムはすぐに天幕の入り口から走り出て迎え、地にひれ伏して、3言った。
 「お客様、よろしければ、どうか、僕のもとを通り過ぎないでください。
4水を少々持って来させますから、足を洗って、木陰でどうぞひと休みなさってください。5何か召し上がるものを調えますので、疲れをいやしてから、お出かけください。せっかく、僕の所の近くをお通りになったのですから。」
 その人たちは言った。
 「では、お言葉どおりにしましょう。」
 6アブラハムは急いで天幕に戻り、サラのところに来て言った。「早く、上等の小麦粉を三セアほどこねて、パン菓子をこしらえなさい。」
 
7アブラハムは牛の群れのところへ走って行き、柔らかくておいしそうな子牛を選び、召し使いに渡し、急いで料理させた。8アブラハムは、凝乳、乳、出来立ての子牛の料理などを運び、彼らの前に並べた。そして、彼らが木陰で食事をしている間、そばに立って給仕をした。
 
9彼らはアブラハムに尋ねた。
 「あなたの妻のサラはどこにいますか。」
 「はい、天幕の中におります」とアブラハムが答えると、
10彼らの一人が言った。
 「わたしは来年の今ごろ、必ずここにまた来ますが、そのころには、あなたの妻のサラに男の子が生まれているでしょう。」

() マムレ……エルサレムの南36キロメートルに位置するヘブロンの近くの場所の名。

() 2三人の人……人間の姿で現れるが、神ご自身と二人の天使と考えられる。アブラハムは最初、普通の人だと思ったようであるが、この旅人を親切にもてなした。

 () 6三セア……セアは容量の単位で、一セアは約7.7リットルにあたる。

() 8凝乳……バター、あるいはヨーグルトのような乳製品のことを指す。

()10a男の子……この子が神の約束の子、イサクである。

 

 

 〔パウロはこの手紙を獄中から書き送った。ここでは自分に与えられた務めについて語りながら、コロサイの教会の人々を励ましている。〕

第二朗読      コロサイの信徒への手紙

世の始めから隠されていた秘められた計画が、

今や、聖なる者たちに明らかにされた。

(1章2428節)

使徒パウロのコロサイの教会への手紙

 24〔皆さん、〕今やわたしは、あなたがたのために苦しむことを喜びとし、キリストの体である教会のために、キリストの苦しみの欠けたところを身をもって満たしています。25神は御言葉をあなたがたに余すところなく伝えるという務めをわたしにお与えになり、この務めのために、わたしは教会に仕える者となりました。26世の初めから代々にわたって隠されていた、秘められた計画が、今や、神の聖なる者たちに明らかにされたのです。27この秘められた計画が異邦人にとってどれほど栄光に満ちたものであるかを、神は彼らに知らせようとされました。その計画とは、あなたがたの内におられるキリスト、栄光の希望です。28このキリストを、わたしたちは宣べ伝えており、すべての人がキリストに結ばれて完全な者となるように、知恵を尽くしてすべての人を諭し、教えています。

()24キリストの苦しみの欠けたところ……キリストの体である教会の苦難がまだ十分でないことを意味するのであろう。

()26秘められた計画……ユダヤ人だけでなく、すべての人がキリストによる救いにあずかること。

() 神の聖なる者たち……キリストを信じ、神のものとされた人々のこと。

 

 

 〔エルサレムへの旅の途中の出来事。この文脈の中では、十字架に向かうイエスの従う弟子のあるべき姿が示されているとも言えよう。

福音朗読        ルカによる福音書

マルタがイエスを家に迎え入れた。マリアは良い方を選んだ。

(10章3842節)

ルカによる福音

 38〔そのとき、〕イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女が、イエスを家に迎え入れた。39彼女にはマリアという姉妹がいた。マリアは主の足もとに座って、その話に聞き入っていた。40マルタは、いろいろのもてなしのためせわしく立ち働いていたが、そばに近寄って言った。「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください。」41主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。42しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」

()38ある村……ヨハネ福音書によれば、この姉妹の住んでいたのはエルサレムに近いベタニアであった(ヨハネ福音書111節参照)。

()41思い悩み……ルカ福音書1222-31節の教えでも「思い悩むな」と言われている。そこでは、「ただ、神の国を求めなさい」と言われている。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」2016717より)

2016年7月 8日 (金)

7月10日の「聖書と典礼」

710() 年間第15主日  (C年)

御子は、見えない神の姿であり、

すべてのものが造られる前に生まれた方です。

(コロサイの信徒への手紙 115節)

 

 

 〔約束の地を前にして、モアブ(死海の東側)で、モーセが民に語った説教の終わりに近い部分。主に立ち返るものへの祝福(Ⅰ-10節)を述べた後に、主のことばを行うように励ます。〕

第一朗読           申命記 

御言葉はあなたのごく近くにあるのだから、それを行うことができる。

(30章1014節)

申命記

 〔モーセは民に言った。10あなたは、〕あなたの神、主の御声に従って、この律法の書に記されている戒めと掟を守り、心を尽くし、魂を尽くして、あなたの神、主に立ち帰〔りなさい。〕
11わたしが今日あなたに命じるこの戒めは難しすぎるものでもなく、遠く及ばぬものでもない。12それは天にあるものではないから、「だれかが天に昇り、わたしたちのためにそれを取って来て聞かせてくれれば、それを行うことができるのだが」と言うには及ばない。13海のかなたにあるものでもないから、「だれかが海のかなたに渡り、わたしたちのためにそれを取って来て聞かせてくれれば、それを行うことができるのだが」と言うには及ばない。14御言葉はあなたのごく近くにあり、あなたの口と心にあるのだから、それを行うことができる。

 

〔コロサイは小アジア(今のトルコ)のフリギア地方の都市。この町のキリスト者を惑わしていた「世を支配する諸霊」というような考えに反対して、パウロは宇宙の王であるキリストを賛美する〕

第二朗読       コロサイの信徒への手紙

万物は御子によって、御子のために造られた。

(1章1520節)

                             

使徒パウロのコロサイの教会への手紙

15御子は、見えない神の姿であり、すべてのものが造られる前に生まれた方です。16天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、王座も主権も、支配も権威も、万物は御子において造られたからです。つまり、万物は御子によって、御子のために造られました。17御子はすべてのものよりも先におられ、すべてのものは御子によって支えられています。18また、御子はその体である教会の頭です。御子は初めの者、死者の中から最初に生まれた方です。こうして、すべてのことにおいて第一の者となられたのです。19神は、御心のままに、満ちあふれるものを余すところなく御子の内に宿らせ、20その十字架の血によって平和を打ち立て、地にあるものであれ、天にあるものであれ、万物をただ御子によって、御自分と和解させられました。

()15造られる前に生まれた……箴言822-31節では「知恵」がすべてのものに先立って生み出されていたといわれる。新約聖書では、御子イエスこそ、この「知恵」であると考えられるようになっていく。

()18最初に生まれた方……原語は15節の「前に生まれた方」と同じ。

 

 ルカ福音書だけが伝える有名なたとえ話。ルカ福音書の中で、この話は、951節から始まるエルサレムへ向かう旅の途中に置かれている。

福音朗読        ルカによる福音書

わたしの隣人とは誰ですか。

(10章2537節)

ルカによる福音

25〔そのとき、〕ある律法の専門家が立ち上がり、イエスを試そうとして言った。「先生、何をしたら、永遠の命を受け継ぐことができるでしょうか。」26イエスが、「律法には何と書いてあるか。あなたはそれをどう読んでいるか」と言われると、27彼は答えた。「『心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また、隣人を自分のように愛しなさい』とあります。」28イエスは言われた。「正しい答えだ。それを実行しなさい。そうすれば命が得られる。」29しかし、彼は自分を正当化しようとして、「では、わたしの隣人とはだれですか」と言った。30イエスはお答えになった。「ある人がエルサレムからエリコへ下って行く途中、追いはぎに襲われた。追いはぎはその人の服をはぎ取り、殴りつけ、半殺しにしたまま立ち去った。31ある祭司がたまたまその道を下って来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。32同じように、レビ人もその場所にやって来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。33ところが、旅をしていたあるサマリア人は、そばに来ると、その人を見て憐れに思い、34近寄って傷に油とぶどう酒を注ぎ、包帯をして、自分のろばに乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。35そして、翌日になると、デナリオン銀貨二枚を取り出し、宿屋の主人に渡して言った。『この人を介抱してください。費用がもっとかかったら、帰りがけに払います。』36さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。」37律法の専門家は言った。「その人を助けた人です。」そこで、イエスは言われた。「行って、あなたも同じようにしなさい。」

()27心を尽くし、精神を尽くし~……申命記65節の引用。このことばをユダヤ人は毎朝唱えていた。

() 隣人を自分のように~……レビ記1918節の引用。マルコによる福音1230-31節とマタイによる福音2237-39節では、イエス自身がこの二つの掟を述べている。

()30エリコ……ヨルダン川の下流に位置する古い町。エルサレムよりずっと低く、海面下にある。

()31祭司……エルサレムの神殿で宗教儀式を司るもの。

()32レビ人……神殿で奉仕にあたるが、祭司よりも低い階級の人。

()33サマリア人……ユダヤ人からは異端者のように考えられ軽蔑されていた。律法学者の考えでは、「隣人」ではありえない種類の人間である。

() 憐れに思い……目の前の人間の苦しみを見て、自分のはらわたがゆさぶられること。非常に深い共感を表すことばである。ルカによる福音713節、1520節参照。

()35デナリオン銀貨……一デナリオンは一日の日当にあたる。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」2016710より)

2016年7月 1日 (金)

7月 3日の「聖書と典礼」

7 3() 年間第14主日  (C年)

行きなさい。わたしはあなたがたを遣わす。

(ルカによる福音書103節より)

 

〔イザヤ書の最終章。イザヤ書5666章はバビロン捕囚から解放された後の時代の預言と考えられている。帰国してイスラエルの再建にあたった民の前にはさまざまな困難が待ち受けていた。この人々に向かって預言者は神に従い、信頼するよう励まし、大きな救いを約束する。〕

第一朗読             イザヤ書

見よ、わたしは彼女に向けよう、平和を大河のように。

(66章1014節c)

                             

 

イザヤの預言

 

10エルサレムと共に喜び祝い
彼女のゆえに喜び躍れ
彼女を愛するすべての人よ。
彼女と共に喜び楽しめ
彼女のために喪に服していたすべての人よ。
11彼女の慰めの乳房から飲んで、飽き足り
豊かな乳房に養われ、喜びを得よ。
12主はこう言われる。
見よ、わたしは彼女に向けよう
平和を大河のように
国々の栄えを洪水の流れのように。
あなたたちは乳房に養われ
抱いて運ばれ、膝の上であやされる。
13母がその子を慰めるように
わたしはあなたたちを慰める。
エルサレムであなたたちは慰めを受ける。
14これを見て、あなたたちの心は喜び楽しみ
あなたたちの骨は青草のように育つ。
主の御手は僕たちと共にあ〔る〕ことが
こうして示される。

()10彼女……エルサレムのこと。

()12平和……単に戦争や争いがないということではなく、神の恵みに満たされた状態を表すことば。

()13母がその子を……ここでは、神の愛が母の愛にたとえられているが、同じような例はイザヤ書4915節にもある。

 

〔ガラテア書は、異邦人キリスト信者も割礼を受けるべきだという考えに反論して書かれた。この個所はその結び。〕

 

 

 

 

第二朗読         ガラテヤの信徒への手紙

わたしは、イエスの焼き印を身に受けている。

(6章1418節)

 

 

使徒パウロのガラテヤの教会への手紙

 

14〔皆さん、〕このわたしには、わたしたちの主イエス・キリストの十字架のほかに、誇るものが決してあってはなりません。この十字架によって、世はわたしに対し、わたしは世に対してはりつけにされているのです。15割礼の有無は問題ではなく、大切なのは、新しく創造されることです。16このような原理に従って生きていく人の上に、つまり、神のイスラエルの上に平和と憐れみがあるように。
17これからは、だれもわたしを煩わさないでほしい。わたしは、イエスの焼き印を身に受けているのです。
18兄弟たち、わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように、アーメン。

()14世はわたしに対し~……悪に支配されている世(ガラテア14節)とその考えや生き方(人からよく思われること。ガラテヤ612節参照)からの絶縁を表しているのであろう。

()15割礼……イスラエルの民に属する者となるしるしだった。

() 新しく創造される……神によってまったく新たにされたキリスト者の生き方を表すことば。

()16神のイスラエル……ここではユダヤ人も異邦人も含む、キリストを信じる民全体のこと(ガラテヤ326-29節参照)。

()17焼き印……奴隷につけられるしるし。つまり、パウロがキリストの奴隷であることを指しているのであろう。

 

〔ルカによる福音書には弟子の派遣が2回述べられている(1回目は12人。ルカ91-6節)。ルカだけが伝えるきょうの話は、ルカ951節から始まったエルサレムへの旅の中での出来事。〕

 

福音朗読          ルカによる福音書

あなたがたの願う平和はその人にとどまる。

(10章112節、1720節、 または 10章19節)

 

 

ルカによる福音

 1〔そのとき、〕主はほかに七十二人を任命し、御自分が行くつもりのすべての町や村に二人ずつ先に遣わされた。2そして、彼らに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい。3行きなさい。わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに小羊を送り込むようなものだ。4財布も袋も履物も持って行くな。途中でだれにも挨拶をするな。5どこかの家に入ったら、まず、『この家に平和があるように』と言いなさい。6平和の子がそこにいるなら、あなたがたの願う平和はその人にとどまる。もし、いなければ、その平和はあなたがたに戻ってくる。7その家に泊まって、そこで出される物を食べ、また飲みなさい。働く者が報酬を受けるのは当然だからである。家から家へと渡り歩くな。8どこかの町に入り、迎え入れられたら、出される物を食べ、その町の病人をいやし、また、『神の国はあなたがたに近づいた』と言いなさい。」
10「しかし、町に入っても、迎え入れられなければ、広場に出てこう言いなさい。11『足についたこの町の埃さえも払い落として、あなたがたに返す。しかし、神の国が近づいたことを知れ』と。12言っておくが、かの日には、その町よりまだソドムの方が軽い罰で済む。」
17七十二人は喜んで帰って来て、こう言った。「主よ、お名前を使うと、悪霊さえもわたしたちに屈服します。」18イエスは言われた。「わたしは、サタンが稲妻のように天から落ちるのを見ていた。19蛇やさそりを踏みつけ、敵のあらゆる力に打ち勝つ権威を、わたしはあなたがたに授けた。だから、あなたがたに害を加えるものは何一つない。20しかし、悪霊があなたがたに服従するからといって、喜んではならない。むしろ、あなたがたの名が天に書き記されていることを喜びなさい。」

() 1七十二人……別の写本は「七十人」となっている。

() 4財布も袋も履物も~……派遣された者には、神に対する絶対的な信頼が要求される。別の箇所には、「ただ履物は履くように」と命じることばもある(マルコによる福音書68-9節参照)。

() 挨拶をするな……儀式ばった挨拶で時間を無駄にするな、という意味のようである。

()11足についたこの町の塵さえも……その地との絶縁を意味するしぐさである。

()12ソドム……罪が満ちていたため、神によって滅ぼされた町(創世記19章参照)。

()13-16・・・・・・省略された個所では、コラジン、ベトサイダ、カファルナウム、と言ったイエスを受け入れなかった町々を叱ることばが続いている。

()18サタンが稲妻のように天から落ちる……悪に対する神の勝利が決定的であることを表す表現である。

()19蛇やさそり……ここでは神に敵対し、人間を苦しめるもの(悪霊)のこと。次の「敵」も同じ。

()20名が天に書き記されている……神に顧みられていることを表す比喩的表現(出エジプト記3232節、ダニエル書121節など参照)。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」20167 3より)

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