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2018年3月24日 (土)

2018年 3月25日の「聖書と典礼」

2018年 3月25日の「聖書と典礼」

「受難の主日(枝の主日)」 B

「お前がユダヤ人の王なのか。」

(マルコ福音書15章2節より)

 

 〔ガリラヤからエルサレムへの旅を続けてきたイエスと弟子たちは、エリコからエルサレムへと上って行った。〕

入城の福音      マルコによる福音書

主の名によって来られる方に、祝福があるように。

(11章110節)

マルコによる福音

1 一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山のふもとにあるベトファゲとベタニアにさしかかったとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、2言われた。「向こうの村へ行きなさい。村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。それをほどいて、連れて来なさい。3もし、だれかが、『なぜ、そんなことをするのか』と言ったら、『主がお入り用なのです。すぐここにお返しになります』と言いなさい。」

4二人は、出かけて行くと、表通りの戸口に子ろばのつないであるのを見つけたので、それをほどいた。5すると、そこに居合わせたある人々が、「その子ろばをほどいてどうするのか」と言った。6二人が、イエスの言われたとおり話すと、許してくれた。7二人が子ろばを連れてイエスのところに戻って来て、その上に自分の服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。8多くの人が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は野原から葉の付いた枝を切って来て道に敷いた。9そして、前を行く者も後に従う者も叫んだ。
 「ホサナ。
 主の名によって来られる方に、
 祝福があるように。

10我らの父ダビデの来るべき国に、
 祝福があるように。
 いと高きところにホサナ。」 

() 2小ろば・・・マタイ福音書21章4-5節とヨハネ福音書12章14-15節は、イエスがろばに乗ってエルサレムに入られたことをゼカリア書9章9節を引用して説明している。ゼカリア書の原文では「雌ろばの子であるろば」と言われているが、これがギリシヤ語に訳されたとき、「小ろば」を意味することばがあてられた。

() 9ホサナ・・・本来は詩編118章25節にある「どうか救いたまえ」という意味の言葉だが、歓呼の叫びにもなった。仮庵祭(かりいおさい)の行列のとき、枝を携えた人々によって詩編118のホサナが唱えられた。「主の名によって」以下も同じ詩編の26節から採られている。

 

〔イザヤ書の40~55章は第二イザヤと呼ばれるが、その中に「主の僕の歌」と呼ばれるものが四つある(42章1-4節、49章1-6節、50章4-9節、52章13節~53章12節)。この箇所はその第三のもの。この「僕」は、預言者自身のようでもあり、来たるべきメシアのようでもあるが、なによりもイエス・キリスト(特にその受難)の姿を思わせる。〕

第一朗読           イザヤ書 

わたしは顔を隠さずに、嘲りを受けた。しかし、わたしは知っている、

わたしが辱められることはない、と(主の僕第三の歌)

(50章47節)

イザヤの預言

4主なる神は、弟子としての舌をわたしに与え
疲れた人を励ますように
言葉を呼び覚ましてくださる。
朝ごとにわたしの耳を呼び覚まし
弟子として聞き従うようにしてくださる。

5主なる神はわたしの耳を開かれた。
わたしは逆らわず、退かなかった。

6打とうとする者には背中をまかせ
ひげを抜こうとする者には頬をまかせた。
顔を隠さずに、嘲りと唾を受けた。

7主なる神が助けてくださるから
わたしはそれを嘲りとは思わない。
わたしは顔を硬い石のようにする。
わたしは知っている
わたしが辱められることはない、と。

() 4弟子としての舌を・・・僕の指名は言葉を通してなされる預言者的なものである。

() 6打とうとする者には~・・・僕の苦難については第四の歌に詳しい(59章13節以下)

() 7硬い石のように・・・迫害に屈伏しないさまを表す。

 

 〔互いに愛し合い、へりくだることをパウロは訴えかけ、キリストの模範を思い起こさせる。この部分は、初代教会のキリスト賛歌が引用されていると考えられている。〕

第二朗読      フィリピの信徒への手紙 

神は、へりくだったキリストを高く上げられた。

(2章611節)

                             

 

使徒パウロのフィリピの教会への手紙

 

6 〔イエス・〕キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、7かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、8へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。9このため、神はキリストを高く上げ、あらゆる名にまさる名をお与えになりました。10こうして、天上のもの、地上のもの、地下のものがすべて、イエスの御名にひざまずき、11すべての舌が、「イエス・キリストは主である」と公に宣べて、父である神をたたえるのです。

() 6身分・・・この言葉(モルフェー)の本来の意味は「形、姿」だが、外観のみならず内容・実質をも意味する。7節の「身分」も同じ語。これに対して、7節で「姿」と訳される語(スケーマ)は外にあらわれた形、形状を指す。

() 8十字架の死に至るまで・・・この言葉は、パウロが元の賛歌に加えたものと考えられている。

 

 〔イエスは夜、逮捕され、大祭司の屋敷に連行され、直ちに最高法院で裁判を受け、死刑の判決を受けた。〕

受難の朗読      マルコによる福音書

主イエス・キリストの受難

(15章139節)

 ()✝印はキリスト(司式司祭)Cは語り手(第1朗読者)

 Sは群衆(会衆一同)Aは他の登場人物(第二朗読者)

 

 

 

マルコによる主イエス・キリストの受難

 

 

                                                                                                                                                                                         
 

 
 

1夜が明けるとすぐ、祭司長たちは、長老や律法学者たちと共に、つまり最高法院全体で相談した後、イエスを縛って引いて行き、ピラトに渡した。2ピラトがイエスに尋問した。

 
 

 
 

「お前がユダヤ人の王なのか。」

 
 

 
 

イエスは答えられた。

 
 

 
 

「それは、あなたが言っていることです。」

 
 

 
 

3そこで祭司長たちが、いろいろとイエスを訴えた。4ピラトが再び尋問した。

 
 

 
 

「何も答えないのか。彼らがあのようにお前を訴えているのに。」

 
 

 
 

5しかし、イエスがもはや何もお答えにならなかったので、ピラトは不思議に思った。
 
6ところで、祭りの度ごとに、ピラトは人々が願い出る囚人を一人釈放していた。7さて、暴動のとき人殺しをして投獄されていた暴徒たちの中に、バラバという男がいた。8群衆が押しかけて来て、いつものようにしてほしいと要求し始めた。9そこで、ピラトは言った。

 
 

 
 

「あのユダヤ人の王を釈放してほしいのか。」

 
 

 
 

10祭司長たちがイエスを引き渡したのは、ねたみのためだと分かっていたからである。11祭司長たちは、バラバの方を釈放してもらうように群衆を扇動した。12そこで、ピラトは改めて言った。

 
 

 
 

「それでは、ユダヤ人の王とお前たちが言っているあの者は、どうしてほしいのか。」

 
 

 
 

13群衆はまた叫んだ。

 
 

 
 

「十字架につけろ。」

 
 

 
 

14ピラトは言った。

 
 

 
 

「いったいどんな悪事を働いたというのか。」

 
 

 
 

群衆はますます激しく叫び立てた。

 
 

 
 

「十字架につけろ。」

 
 

 
 

15ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバを釈放した。そして、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。
 
16兵士たちは、官邸、すなわち総督官邸の中に、イエスを引いて行き、部隊の全員を呼び集めた。17そして、イエスに紫の服を着せ、茨の冠を編んでかぶらせ、

 
 

 
 

18「ユダヤ人の王、万歳」

 
 

 
 

と言って敬礼し始めた。19また何度も、葦の棒で頭をたたき、唾を吐きかけ、ひざまずいて拝んだりした。20このようにイエスを侮辱したあげく、紫の服を脱がせて元の服を着せた。そして、十字架につけるために外へ引き出した。
 
21そこへ、アレクサンドロとルフォスとの父でシモンというキレネ人が、田舎から出て来て通りかかったので、兵士たちはイエスの十字架を無理に担がせた。22そして、イエスをゴルゴタという所――その意味は「されこうべの場所」――に連れて行った。23没薬を混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはお受けにならなかった。24それから、兵士たちはイエスを十字架につけて、
 
 その服を分け合った、
 
 だれが何を取るかをくじ引きで決めてから。
 
25イエスを十字架につけたのは、午前九時であった。26罪状書きには、「ユダヤ人の王」と書いてあった。27また、イエスと一緒に二人の強盗を、一人は右にもう一人は左に、十字架につけた。29そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって言った。

 
 

 
 

「おやおや、神殿を打ち倒し、三日で建てる者、30十字架から降りて自分を救ってみろ。」

 
 

 
 

31同じように、祭司長たちも律法学者たちと一緒になって、代わる代わるイエスを侮辱して言った。

 
 

 
 

「他人は救ったのに、自分は救えない。32メシア、イスラエルの王、今すぐ十字架から降りるがいい。それを見たら、信じてやろう。」

 
 

 
 

一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。
 
33昼の十二時になると、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。34三時にイエスは大声で叫ばれた。

 
 

 
 

「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ。」

 
 

 
 

これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。35そばに居合わせた人々のうちには、これを聞いて、

 
 

 
 

「そら、エリヤを呼んでいる」

 
 

 
 

と言う者がいた。36ある者が走り寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませて葦の棒に付け、

 
 

 
 

「待て、エリヤが彼を降ろしに来るかどうか、見ていよう」

 
 

 
 

と言いながら、イエスに飲ませようとした。37しかし、イエスは大声を出して息を引き取られた。
 
     (頭を下げて、しばらく沈黙のうちに祈る)
 
38すると、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂けた。39百人隊長がイエスの方を向いて、そばに立っていた。そして、イエスがこのように息を引き取られたのを見て言った。

 
 

 
 

「本当に、この人は神の子だった。」

 

() 1最高法院・・・大祭司が議長をつとめるユダヤ教の最高会議。祭司長、長老、律法学者、からなる。この時代にはユダヤ人内部の裁判権、警察権はあったが、死刑はローマ総督の同意なしには行えなかった。

() ピラト・・・紀元26~36年まで、ローマ総督として、ユダヤ、サマリア、イドマヤを統治した。

() 2ユダヤ人の王・・・ユダヤは当時ローマ帝国の直轄領だったので、ユダヤ人の王と自称する者はローマ皇帝の支配に対する反逆者ということになる。最高法院はイエスを死刑にするために、このように訴えたのである。

() あなたが言っている・・・これは、はっきりとした肯定でも否定でもない言い方である。

() 7バラバ・・・「アバ()の子」という意味で、ユダヤ人に多い名前である。

()13十字架・・・ローマの死刑の中で最も残虐な刑であり、ローマ市民権を持つ者には適用されなかった。植民地の、特にローマに対する反逆者に適用された。見せしめとしての性格を持つ。

()17紫の服・・・ローマ兵の着用した深紅色の外套のこと。王の服になぞらえた。

() 茨の・・・これをかぶらせるのは、苦痛を与えるよりも、むしろ嘲りのためであると考えられる。

()21アレクサンドロとルフォス・・・ローマの信徒への手紙1613節にルフォスという人名があり、本節のルフォスと同一人物であると思われる。この息子たちはローマ教会でよく知られていた信者だったらしい。

() キレネ・・・ギリシアの対岸の北アフリカの都市。

()23没薬を混ぜたぶどう酒・・・非常に強く、苦痛をやわらげる効果を持つ。

()24その服を~・・・詩編2219節(きょうの答唱詩編)参照。

()29神殿を打ち倒し、三日で建てる者・・・マルコ福音書1458節、ヨハネ福音書21921節参照。ヨハネ福音書219節では、イエス自身がこう言うが、そこでいわれている「神殿」とは、死んで三日目に復活する「自分の体」のことを意味していた。

()34エロイ、エロイ、~・・・アラム語をギリシア語に写した形。意味は「わが神、わが神・・・」であるが、これは詩編22(きょうの答唱詩編)の冒頭のことばである。この詩編全体は絶望の叫びではなく、苦難の中で神に信頼する祈りである

()35エリヤ・・・紀元前九世紀の北イスラエルの預言者。非常に尊敬されていた。

()36酸いぶどう酒・・・兵士の持っていた飲み物で元気を回復させるためのものだが、ここでは苦痛を引き延ばすことになる。

()38神殿の垂れ幕・・・神殿には二つの垂れ幕があり、一つは至聖所の入り口、もう一つは聖所の前にあった。いずれにせよ、キリストの死によって、もはやこの幕は神と人とを隔てるものではなくなる。

()39百人隊長・・・ローマ軍の百人隊の長。

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」2018325より)

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