2018年12月14日 (金)

2018年12月16日の「聖書と典礼」

 2018年12月16日の「聖書と典礼」

「待降節第3主日」 C

その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。

(ルカによる福音書 3章16節より)

 〔ゼファニヤは紀元前七世紀、ヨシヤ王の時代の預言者。エルサレムの罪を糾弾し、そこに下される罰を告げた。しかし、この書の結びは、神が王となり、民の中に来られる救いを預言する

第一朗読  ゼファニヤ書

主はお前のゆえに喜びの歌をもって楽しまれる。

(3章1417節)

ゼファニヤの預言

14娘シオンよ、喜び叫べ。
イスラエルよ、歓呼の声をあげよ。
娘エルサレムよ、心の底から喜び躍れ。
15主はお前に対する裁きを退け
お前の敵を追い払われた。
イスラエルの王なる主はお前の中におられる。
お前はもはや、災いを恐れることはない。

                             

16その日、人々はエルサレムに向かって言う。
「シオンよ、恐れるな。
力なく手を垂れるな。
17お前の主なる神はお前のただ中におられ
勇士であって勝利を与えられる。
主はお前のゆえに喜び楽しみ
愛によってお前を新たにし
お前のゆえに喜びの歌をもって楽しまれる。」

()14娘シオン・・・シオンはエルサレムのこと。ここではエルサレムの町が女性として擬人化して語られる。

() 喜び・・・待降節第三主日は「喜びの主日」ともいわれる。主がすぐそばに来ておられる喜びは、きょうの三つの朗読に共通している。

()17主はお前のゆえに喜び楽しみ・・・神が喜ぶというテーマは、イザヤ書625節、6519節、エレミヤ書3241節などにも現れる。

 

 〔パウロは獄中にありながら、主に希望を置き、喜びに満ちたこの手紙を書いた。〕

第二朗読 フィリピの信徒への手紙

主はすぐ近くにおられる。

(4章47節)

使徒パウロのフィリピの教会への手紙

4〔皆さん、〕主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。5あなたがたの広い心がすべての人に知られるようになさい。主はすぐ近くにおられます。6どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。7そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。

() 4喜びなさい・・・迫害の中での喜びは、マタイ福音書51112節を思わせる。

 

 〔洗礼者ヨハネは、自分のもとに来たすべての人に向かって、「悔い改めにふさわしい実を結べ」と説いた。〕

福音朗読 ルカによる福音書

わたしたちはどうすればよいのですか。

(3章1018節)

ルカによる福音

10〔そのとき、群集はヨハネに、〕「わたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねた。11ヨハネは、「下着を二枚持っている者は、一枚も持たない者に分けてやれ。食べ物を持っている者も同じようにせよ」と答えた。12徴税人も洗礼を受けるために来て、「先生、わたしたちはどうすればよいのですか」と言った。13ヨハネは、「規定以上のものは取り立てるな」と言った。14兵士も、「このわたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねた。ヨハネは、「だれからも金をゆすり取ったり、だまし取ったりするな。自分の給料で満足せよ」と言った。
15 民衆はメシアを待ち望んでいて、ヨハネについて、もしかしたら彼がメシアではないかと、皆心の中で考えていた。16そこで、ヨハネは皆に向かって言った。「わたしはあなたたちに水で洗礼を授けるが、わたしよりも優れた方が来られる。わたしは、その方の履物のひもを解く値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。17そして、手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。」18ヨハネは、ほかにもさまざまな勧めをして、民衆に福音を告げ知らせた。

()11下着・・・現代の下着の意味ではなく、肌に直接着る普通の衣服のこと。

()14兵士・・・ローマ兵だけでなく、ヘロデ・アンティパスの下にユダヤ人の兵士もいた。

()16履物のひもを解く・・・これはしもべの仕事であった。

() 聖霊と火で~・・・洗礼者ヨハネにとってこのことばは裁きを意味したようである(次節)が、福音書は、聖霊(火とそのシンボル)という神のいのちを人々にもたらすイエスの使命全体を表すことばとして受け取る。

()17・・・穀物の箕と殻を分ける農具。実と殻がまじりあったものを宙に飛ばし、殻だけを風で飛ばして取り除く。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」20181216 より)

2018年12月 7日 (金)

2018年12月 9日の「聖書と典礼」

2018年12月 9日の「聖書と典礼」

「待降節第2主日」 C

人は皆、神の救いを仰ぎ見る。

(福音朗読主題句 ルカによる福音書 3 6節)

 

 〔第二正典に数えられる本書は、エレミヤの書記であったバルクが捕囚の地バビロンからエルサレムに書き送った形を取る。この箇所はエルサレムを励ます結びの部分。神の救いとその栄光の現れを待ち望んでいた旧約時代の人々の姿を思い起こすのは、待降節の第一朗読の特徴である。〕

第一朗読 バルク書 

神はお前の輝きを示される。

5章19節)

バルクの預言

                             

1エルサレムよ、悲しみと不幸の衣を脱ぎ、
神から与えられる栄光で永遠に飾れ。
2神から与えられる義の衣を身にまとい、
頭に永遠なる者の栄光の冠をつけよ。
3神は天の下のすべての地に
お前の輝きを示される。
4お前は神から「義の平和、敬神の栄光」と呼ばれ、
その名は永遠に残る。
5エルサレムよ、立ち上がれ、
高い山に立って東の方に目を向けよ。
お前の子らは、
神が覚えていてくださったことを喜び、
西からも東からも
聖なる者の言葉によって集められる。
6お前の子らは敵に追い立てられ、
徒歩でお前のもとを去ったが、
神は彼らを、玉座につく王のように高く上げ、
栄光のうちにお前のもとに連れ戻される。
7すべての高い山、果てしなく続く丘は低くなれ、
谷は埋まって平地になれ、と神は命じられた。
それはイスラエルが神の栄光に包まれ、
安全に歩むため。
8森も、香り高いすべての木々も、
神の命令でイスラエルのために木陰をつくる。
9神は自らの慈しみと義をもって栄光の輝きを表し、
喜びのうちにイスラエルを導かれる。

() 1エルサレムよ・・・エルサレムの町が、その住民の母として、擬人化して描かれている。「悲しみと不幸の衣」は、わが子を失い喪に服している姿であろう。

() 2義の衣・・・神の恵みによって守られ、生きることを譬えて言う。イザヤ書521節、6110節などを参照。

() 4義の平和・・・平和は正義と共にあるという考え方は聖書の特徴である。(イザヤ書3217節、詩編8511節などを参照)。

 

() 敬神・・・神をおそれ敬うこと(新約聖書では一テモテへの手紙210節で使われることば)。

() 5東の方・・・バビロン捕囚から解放された民がエルサレムに戻ってくるのはこの方角からである。

() 7すべての高い山~・・・イザヤ書404節参照。イザヤ同様、ここでもバビロンからの解放が語られているが、それだけでなく、神に導かれた民の歩み全体を表しているようである。

 

 〔パウロは獄中にありながら、自分が信仰を伝えたフィリピの教会への配慮を忘れず、この書簡を書き送った。〕

第二朗読 フィリピの信徒への手紙 

キリストの日に備えて、

清い者、とがめられるところのない者となるように。

(1章46節、811節)

使徒パウロのフィリピの教会への手紙

4 〔皆さん、わたしは、〕あなたがた一同のために祈る度に、いつも喜びをもって祈っています。5それは、あなたがたが最初の日から今日まで、福音にあずかっているからです。6あなたがたの中で善い業を始められた方が、キリスト・イエスの日までに、その業を成し遂げてくださると、わたしは確信しています。8わたしが、キリスト・イエスの愛の心で、あなたがた一同のことをどれほど思っているかは、神が証ししてくださいます。9わたしは、こう祈ります。知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、10本当に重要なことを見分けられるように。そして、キリストの日に備えて、清い者、とがめられるところのない者となり、11イエス・キリストによって与えられる義の実をあふれるほどに受けて、神の栄光と誉れとをたたえることができるように。

() 5最初の日・・・福音を受け入れ、キリスト者になった時。

() 6キリスト・イエスの日・・・キリストの再臨の日のこと。10節の「キリストの日」も同じ。

 

 〔イエスの宣教活動に先立つ洗礼者ヨハネの活動を述べる箇所。〕

福音朗読 ルカによる福音書 

人は皆、神の救いを仰ぎ見る。

(3章16節)

ルカによる福音

1 皇帝ティベリウスの治世の第十五年、ポンティオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟フィリポがイトラヤとトラコン地方の領主、リサニアがアビレネの領主、2アンナスとカイアファとが大祭司であったとき、神の言葉が荒れ野でザカリアの子ヨハネに降った。

2そこで、ヨハネはヨルダン川沿いの地方一帯に行って、罪の赦しを得させるために悔い改めの洗礼を宣べ伝えた。

4 これは、預言者イザヤの書に書いてあるとおりである。
 「荒れ野で叫ぶ者の声がする。
 『主の道を整え、
 その道筋をまっすぐにせよ。
5 谷はすべて埋められ、
 山と丘はみな低くされる。
 曲がった道はまっすぐに、
 でこぼこの道は平らになり、
6 人は皆、神の救いを仰ぎ見る。』」

() 1ティベリウス・・・第二代ローマ皇帝(在位1437年)。

() ポンティオ・ピラトが~・・・ヘロデ大王の死後(紀元前4年)、王国はアルケラオ、ヘロデ・アンティパス、フィリポによって分割された。ユダヤを支配したアルケラオは紀元6年に追放され、ユダヤはそれ以後、ローマ帝国の属州となり、ローマ総督が置かれた。ピラトは2636年の間、この職にあった。

()4-6荒れ野で~・・・イザヤ書4035節の引用。イザヤ書では、捕囚の民が神とともにエルサレムに帰還することがこのような形で告げられている。ルカ福音書の引用では「主」はイエスを意味する。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」201812 9 より)

2018年11月30日 (金)

2018年12月 2日の「聖書と典礼」

2018年12月 2日の「聖書と典礼」

「待降節第1主日」 C

そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗ってくる。

(ルカによる福音書2127節より)

 

 〔イスラエル(北王国)はアッシリアに滅ぼされて散り散りになり、ユダ(南王国)はバビロンに捕囚の身となっていた時代に、エレミヤは救い主である王(メシア、キリスト)の到来を預言する。〕

第一朗読           エレミヤ書

わたしはダビデのために正義の若枝を生え出でさせる。

(33章1416節)

エレミヤの預言

14見よ、わたしが、イスラエルの家とユダの家に恵みの約束を果たす日が来る、と主は言われる。15その日、その時、わたしはダビデのために正義の若枝を生え出でさせる。彼は公平と正義をもってこの国を治める。16その日には、ユダは救われ、エルサレムは安らかに人の住まう都となる。その名は、『主は我らの救い』と呼ばれるであろう。 

()15正義の若枝・・・王である救い主(メシア)のことを指す。

 

 〔パウロの手紙の中で最も古いもの(50年頃)。パウロは自分が福音を伝えたこの教会に対して、さらに信仰と愛を深めるように励ます。〕

第二朗読     ()テサロニケの信徒への手紙 

主イエスが来られるとき、

あなたがたの心を強めてくださるように。

(3章12節〜4章2節)

使徒パウロのテサロニケの教会への手紙

312〔皆さん、〕どうか、主があなたがたを、お互いの愛とすべての人への愛とで、豊かに満ちあふれさせてくださいますように、わたしたちがあなたがたを愛しているように。13そして、わたしたちの主イエスが、御自身に属するすべての聖なる者たちと共に来られるとき、あなたがたの心を強め、わたしたちの父である神の御前で、聖なる、非のうちどころのない者としてくださるように、アーメン。
41さて、兄弟たち、主イエスに結ばれた者としてわたしたちは更に願い、また勧めます。あなたがたは、神に喜ばれるためにどのように歩むべきかを、わたしたちから学びました。そして、現にそのように歩んでいますが、どうか、その歩みを今後も更に続けてください。2わたしたちが主イエスによってどのように命令したか、あなたがたはよく知っているはずです。

()12わたしたち・・・この手紙の差出人は、パウロ、シルワノ、テモテである(11節)。

()13聖なる者・・・この個所によく似たゼカリア書145節では「聖なる御使い」となっているが、ここではむしろキリスト者を指している。

() 来られる・・・キリストが栄光のうちに再び来られ、わたしたちの救いが完成することを、初代教会の人々は切望していた。待降節のテーマは、二千年前のキリストの到来であると同時に、この第二の到来を待つことである。

 

 〔終末についての説教の結びの部分。待降節第一主日の福音では、毎年「目を覚ましていなさい」ということばが読まれ、終末における救いの完成を待ち望むわたしたちのあり方が問われる。〕

福音朗読     ルカによる福音書

あなたがたの解放の時は近い。

(21章2528節、3436節)

ルカによる福音

 〔そのとき、イエスは弟子たちに言われた。〕25「太陽と月と星に徴が現れる。地上では海がどよめき荒れ狂うので、諸国の民は、なすすべを知らず、不安に陥る。26人々は、この世界に何が起こるのかとおびえ、恐ろしさのあまり気を失うだろう。天体が揺り動かされるからである。27そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。28このようなことが起こり始めたら、身を起こして頭を上げなさい。あなたがたの解放の時が近いからだ。
34放縦や深酒や生活の煩いで、心が鈍くならないように注意しなさい。さもないと、その日が不意に罠のようにあなたがたを襲うことになる。35その日は、地の表のあらゆる所に住む人々すべてに襲いかかるからである。36しかし、あなたがたは、起ころうとしているこれらすべてのことから逃れて、人の子の前に立つことができるように、いつも目を覚まして祈りなさい。」

()25・・・天体に現れる徴については、旧約聖書でも述べられている(イザヤ書1310節、エゼキエル書327節、ヨエル書34節など)。

()27人の子・・・ダニエル書713節参照。

()28解放・・・代価を払って奴隷を自由にすること。「あがない」とも訳せる。

()3435その日・・・人の子が来る日。第二朗読で読まれた()テサロニケの信徒への手紙では「主が来られる日」(415)、あるいは「主の日」(52)と呼ぶ。(一コリントの教会への手紙18節、二コリントの教会への手紙11314節なども参照)。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」2018122 より)

2018年11月23日 (金)

2018年11月25日の「聖書と典礼」

 2018年11月25日の「聖書と典礼」

「王であるキリスト」 B

わたしの国は、この世には属していない。

(ヨハネによる福音書1836節より)

 

 〔幻の中で、ダニエルは四匹の獣(当時の世界を支配していた大帝国を表す)を見た後、神の裁きの到来を見る。〕

第一朗読 ダニエル書 

彼の支配はとこしえに続く。

(7章1314節)

ダニエルの預言

                             

13夜の幻をなお見ていると、
見よ、「人の子」のような者が天の雲に乗り
「日の老いたる者」の前に来て、そのもとに進み
14権威、威光、王権を受けた。
諸国、諸族、諸言語の民は皆、彼に仕え
彼の支配はとこしえに続き
その統治は滅びることがない。

()13人の子・・・もともと人間を意味することば(詩編857節参照)。ダニエル書のこの箇所から、神が遣わされるメシア的王を指すようになる。

() 日の老いたる者・・・神のこと。このことばは特に神の永遠性を表す。

 

 〔ヨハネがアジア州の七つの教会に書き送った形式をとる黙示録の初めの挨拶の部分。〕

第二朗読 黙示録

地上の王たちの支配者である方は、わたしたちを王とし、

神に仕える祭司としてくださった。

(1章58節)

ヨハネの黙示

 

5 証人〔であり、〕誠実な方、死者の中から最初に復活した方、地上の王たちの支配者、イエス・キリストから恵みと平和があなたがたにあるように。
 
わたしたちを愛し、御自分の血によって罪から解放してくださった方に、
6わたしたちを王とし、御自身の父である神に仕える祭司としてくださった方に、栄光と力が世々限りなくありますように、アーメン。
7 見よ、その方が雲に乗って来られる。
 すべての人の目が彼を仰ぎ見る、
 ことに、彼を突き刺した者どもは。
 地上の諸民族は皆、彼のために嘆き悲しむ。
然り、アーメン。
8 神である主、今おられ、かつておられ、やがて来られる方、全能者がこう言われる。「わたしはアルファであり、オメガである。」

() 5証人 誠実な方・・・「真実な証人」ともとれる。黙示録の中で「証人」は殉教者を意味することばでもある。

() 6わたしたちを~祭司とし・・・出エジプト記1956節などを参照。

() アーメン・・・ヘブライ語で「確かに」の意味。

() 7見よ~・・・ダニエル書713節(第一朗読)やゼカリア書1210節からとられた表現。

() 8アルファ オメガ・・・ギリシア語のアルファベットの最初と最後の文字。「初め」と「終わり」の意味。

 

〔逮捕されたイエスがローマ総督ピラトによって尋問される場面。〕

福音朗読 ヨハネによる福音書

わたしが王だとは、あなたが言っていることである。

(18章33b37節)

ヨハネによる福音

33b〔そのとき、ピラトはイエスに、〕「お前がユダヤ人の王なのか」と言った。34イエスはお答えになった。「あなたは自分の考えで、そう言うのですか。それとも、ほかの者がわたしについて、あなたにそう言ったのですか。」35ピラトは言い返した。「わたしはユダヤ人なのか。お前の同胞や祭司長たちが、お前をわたしに引き渡したのだ。いったい何をしたのか。」36イエスはお答えになった。「わたしの国は、この世には属していない。もし、わたしの国がこの世に属していれば、わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。しかし、実際、わたしの国はこの世には属していない。」37そこでピラトが、「それでは、やはり王なのか」と言うと、イエスはお答えになった。「わたしが王だとは、あなたが言っていることです。わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」

()33ユダヤ人の王・・・当時のユダヤはローマ帝国の直轄領になっていてユダヤ人の王はいない。もしユダヤ人の王を自称すれば、ローマ帝国に対する反逆罪となる。

()36わたしの国・・・わたしの国(パシレイア)という言葉は、イエスが王(パシレウス)であることをある意味で認める発言である。ピラトが考えるのとはまったく違った意味での王である。

()37真理・・・信頼すべき神ご自身と、神について明らかにすることを意味することば。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」20181125 より)

2018年11月16日 (金)

2018年11月18日の「聖書と典礼」

2018年11月18日の「聖書と典礼」

「年間第33主日」 B

その時、大天使長ミカエルが立つ。

彼はお前の民の子らを守護する。

(ダニエル書121節より)

 

 〔ダニエルが見た最後の幻(10章以下)はヘレニズム時代のシリアやエジプトの支配者についてのものだった。王たちは強大な力でイスラエルを支配し迫害するが、その支配にも終の時が来ることが示される。〕

第一朗読       ダニエル書 

その時には、お前の民は救われる。

(12章13節)

ダニエルの預言

                             

1その時、大天使長ミカエルが立つ。
彼はお前の民の子らを守護する。
その時まで、苦難が続く
国が始まって以来、かつてなかったほどの苦難が。
しかし、その時には救われるであろう
お前の民、あの書に記された人々は。
2多くの者が地の塵の中の眠りから目覚める。
ある者は永遠の生命に入り
ある者は永久に続く恥と憎悪の的となる。
3目覚めた人々は大空の光のように輝き
多くの者の救いとなった人々は
とこしえに星と輝く。

() 1ミカエル・・・この名は「だれが神のようであろうか」という意味。大天使の長で、イスラエルの守護天使。

() あの書に記された・・・「生命の書」に名前が書き記されているということ。(イザヤ書43節、詩編6929節参照)。神の救いの計画の確かさを表している。

() 2目覚める・・・ダニエル書の最終的な希望は、死者の復活と神による裁きである。

 

 〔キリストの十字架上での奉献によって、旧約の不完全な献げものは廃止された。〕

第二朗読     ヘブライ人への手紙

キリストは唯一の献げ物によって、

聖なる者とされた人たちを永遠に完全な者となさった。

(10章1114節、18節)

ヘブライ人への手紙

11 すべての祭司は、毎日礼拝を献げるために立ち、決して罪を除くことのできない同じいけにえを、繰り返して献げます。12しかしキリストは、罪のために唯一のいけにえを献げて、永遠に神の右の座に着き、13その後は、敵どもが御自分の足台となってしまうまで、待ち続けておられるのです。14なぜなら、キリストは唯一の献げ物によって、聖なる者とされた人たちを永遠に完全な者となさったからです。
18 罪と不法の赦しがある以上、罪を贖うための供え物は、もはや必要ではありません。

()13敵どもが~・・・詩編1101節からとられた表現。神の完全な勝利の時を意味する。

()14完全な者・・・献げものの本来の目的は、神に立ち帰り、罪から清められることであった。イエスの十字架がそれを実現した。

 

 〔エルサレムの東にあるオリーブ山から神殿を見ながら、イエスが弟子たちに語った最後の説教の中心部分。〕

福音朗読     マルコによる福音書

人の子は、彼によって選ばれた人たちを四方から呼び集める。

(13章2432節)

マルコによる福音

 〔そのとき、イエスは弟子たちに言われた。〕
24「それらの日には、このような苦難の後、
 太陽は暗くなり、
 月は光を放たず、
25星は空から落ち、
 天体は揺り動かされる。
26そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。27そのとき、人の子は天使たちを遣わし、地の果てから天の果てまで、彼によって選ばれた人たちを四方から呼び集める。
28いちじくの木から教えを学びなさい。枝が柔らかくなり、葉が伸びると、夏の近づいたことが分かる。29それと同じように、あなたがたは、これらのことが起こるのを見たら、人の子が戸口に近づいていると悟りなさい。30はっきり言っておく。これらのことがみな起こるまでは、この時代は決して滅びない。31天地は滅びるが、わたしの言葉は決して滅びない。
32その日、その時は、だれも知らない。天使たちも子も知らない。父だけがご存じである。」

()24このような苦難・・・朗読個所の前の13523節では、戦争や迫害、天変地異や偽メシアの出現など、終わりの日に起こる苦難のことが語られている。

() 太陽は暗くなり~・・・イザヤ書1310節などにも見られる神の裁きの到来を表す表現。

()26人の子が~・・・ダニエル書713節参照。その他、2427節では旧約聖書からとられたイメージがふんだんに用いられている。

()28・・・いちじくの収穫の時。

()30滅びない・・・文字通りには「過ぎ去らない」。31節も同じ。

()31わたしの言葉は決して滅びない・・・イザヤ書4068節、516節、5511節などを参照。

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」20181111 より)

 

 

20181118日 (年間第33主日)

『貧しい人のための世界祈願日』
 いつくしみの特別聖年(2015年12月8日~翌年11月20日)の閉年にあたり公布された使徒的書簡『あわれみあるかたと、あわれな女』(2016年)で教皇フランシスコは、年間第33主日を「貧しい人のための世界祈願日」とするよう定めました。
 ご自分を小さい者とみなされたキリストに倣い、わたしたちも、貧しい人、弱い立場にある人に寄り添い、奉仕するよう求められています。
 不平等や不正義のない世界の実現に向けて、具体的なわざを通して神のいつくしみのあかし人となれるように、祈り求めていかなければなりません。

(カトリック中央協議会ホームページより)

2018年11月 9日 (金)

2018年11月11日の「聖書と典礼」

2018年11月11日の「聖書と典礼」

「年間第32主日」 B

この貧しいやもめは、だれよりもたくさん入れた。

(福音朗読主題句 マルコによる福音書1243節より)

 

 〔紀元前九世紀のこと。北イスラエルの王アハブが異教の神々を導入し、主の怒りを招いたため、預言者エリヤは旱魃が起こることを告げ、身を隠した。なお、イエスはルカ福音書426節でこの出来事に言及している。〕

第一朗読       列王記()

やもめは小麦粉で小さいパン菓子を作って、

エリヤに持って行った。

(17章1016節)

列王記

10〔その日、預言者エリヤは〕立ってサレプタに行った。町の入り口まで来ると、一人のやもめが薪を拾っていた。エリヤはやもめに声をかけ、「器に少々水を持って来て、わたしに飲ませてください」と言った。11彼女が取りに行こうとすると、エリヤは声をかけ、「パンも一切れ、手に持って来てください」と言った。12彼女は答えた。「あなたの神、主は生きておられます。わたしには焼いたパンなどありません。ただ壺の中に一握りの小麦粉と、瓶の中にわずかな油があるだけです。わたしは二本の薪を拾って帰り、わたしとわたしの息子の食べ物を作るところです。わたしたちは、それを食べてしまえば、あとは死ぬのを待つばかりです。」13エリヤは言った。「恐れてはならない。帰って、あなたの言ったとおりにしなさい。だが、まずそれでわたしのために小さいパン菓子を作って、わたしに持って来なさい。その後あなたとあなたの息子のために作りなさい。

14なぜならイスラエルの神、主はこう言われる。
 主が地の面に雨を降らせる日まで
 壺の粉は尽きることなく
 瓶の油はなくならない。」
15やもめは行って、エリヤの言葉どおりにした。こうして彼女もエリヤも、彼女の家の者も、幾日も食べ物に事欠かなかった。16主がエリヤによって告げられた御言葉のとおり、壺の粉は尽きることなく、瓶の油もなくならなかった。

()10サレプタ・・・アハブ王の支配圏外であるフェニキア地方の町。

() やもめ・・・旧約において、孤児や寄留者と並んで、貧しく、弱い人々の代表。旱魃の時など、真っ先に苦しむのはこの人々であった。

()12あなたの神、主は生きておられます・・・語っている言葉が真実であることを誓うときにこのように言う。

()13パン菓子・・・丸く平たいパンのこと。

 

 〔ヘブライ書は、旧約の祭司職と比較しながら、イエスの十字架による救いの素晴らしさを語る。イエスこそ真の大祭司として、神と人とを完全に結びつける方なのである。〕

第二朗読     ヘブライ人への手紙 

キリストは、多くの人の罪を負うために

ただ一度身を献げられた。

(9章2428節)

ヘブライ人への手紙

24キリストは、まことのものの写しにすぎない、人間の手で造られた聖所にではなく、天そのものに入り、今やわたしたちのために神の御前に現れてくださった〔のです。〕

25また、キリストがそうなさったのは、大祭司が年ごとに自分のものでない血を携えて聖所に入るように、度々御自身をお献げになるためではありません。26もしそうだとすれば、天地創造の時から度々苦しまねばならなかったはずです。ところが実際は、世の終わりにただ一度、御自身をいけにえとして献げて罪を取り去るために、現れてくださいました。27また、人間にはただ一度死ぬことと、その後に裁きを受けることが定まっているように、28キリストも、多くの人の罪を負うためにただ一度身を献げられた後、二度目には、罪を負うためではなく、御自分を待望している人たちに、救いをもたらすために現れてくださるのです。

()24まことのものの写しにすぎない・・・地上の聖所(エルサレムの神殿)は天の聖所の写しと考えられている(856節参照)

() 神のみ前に現れてくださった・・・これは直訳。フランシスコ会訳では「神のみ前に立って、わたしたちのために執り成しておられる」と解している。

()25大祭司が年ごとに・・・年に一度の贖罪日に大祭司は至聖所に入って贖罪の儀式を行った(出エジプト記3010節、レビ記16章参照)

 

 〔神殿でのイエスの活動の終わりの部分。神殿に来ていたさまざまな人の姿を見ながら、イエスはその人々の中にある欺瞞と真実を指摘する。〕

福音朗読    マルコによる福音書

この貧しいやもめは、だれよりもたくさん入れた

(12章3844節、 または 12章4144節)

マルコによる福音

 〔そのとき、〕
38イエスは教えの中でこう言われた。「律法学者に気をつけなさい。彼らは、長い衣をまとって歩き回ることや、広場で挨拶されること、39会堂では上席、宴会では上座に座ることを望み、40また、やもめの家を食い物にし、見せかけの長い祈りをする。このような者たちは、人一倍厳しい裁きを受けることになる。」
41イエスは賽銭箱の向かいに座って、群衆がそれに金を入れる様子を見ておられた。大勢の金持ちがたくさん入れていた。42ところが、一人の貧しいやもめが来て、レプトン銅貨二枚、すなわち一クァドランスを入れた。43イエスは、弟子たちを呼び寄せて言われた。「はっきり言っておく。この貧しいやもめは、賽銭箱に入れている人の中で、だれよりもたくさん入れた。44皆は有り余る中から入れたが、この人は、乏しい中から自分の持っている物をすべて、生活費を全部入れたからである。」

()38長い衣・・・学者の身分を表す服装である。

()42レプトン クァドランス・・・レプトンはギリシアの最小額貨幣。一レプトンは128分の1デナリオン。クァドランスはローマの貨幣でその倍にあたる。今でいえば百円足らずぐらいということになろうか。

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」20181111 より)

 

2018年11月 2日 (金)

2018年11月 4日の「聖書と典礼」

2018年11月 4日の「聖書と典礼」

「年間第31主日」 B

あなたの神である主を愛しなさい。隣人を愛しなさい。

(福音朗読主題句マルコによる福音書1230節,31節より)

 

 〔ヨルダン川の東で約束の地を目の前にした民に向かって、モーセが遺言のようにして語る申命記の律法の中心。〕

第一朗読申命記 

聞け、イスラエルよ。心を尽くして、主を愛しなさい。

(6章2-6節)

申命記

 〔モーセは民に言った。〕2あなたもあなたの子孫も生きている限り、あなたの神、主を畏れ、わたしが命じるすべての掟と戒めを守〔るなら、〕長く生きる。3イスラエルよ、あなたはよく聞いて、忠実に行いなさい。そうすれば、あなたは幸いを得、父祖の神、主が約束されたとおり、乳と蜜の流れる土地で大いに増える。
4聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。5あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。
6今日わたしが命じるこれらの言葉を心に留め〔なさい。〕

() 3乳と蜜の流れる土地・・・エジプト脱出の時に神が約束された豊かなカナンの地のこと。

() 4聞け・・・ただ耳で聞くのではなく、聞き従うこと。45節はユダヤ人が朝晩の祈りの中で唱えることば。

() 5心 魂 力・・・全身全霊を上げて、という意味。

 

 〔旧約時代の祭司職と比較しながら、神の誓いによって永遠の祭司とされたイエス・キリストの祭司職のすばらしさを語る。〕

第二朗読        ヘブライ人への手紙 

イエスは永遠に生きているので、

変わることのない祭司職を持っておられる。

(7章23-28節)

ヘブライ人への手紙

23〔皆さん、〕レビの系統の祭司たちの場合には、死というものがあるので、務めをいつまでも続けることができず、多くの人たちが祭司に任命されました。24しかし、イエスは永遠に生きているので、変わることのない祭司職を持っておられるのです。25それでまた、この方は常に生きていて、人々のために執り成しておられるので、御自分を通して神に近づく人たちを、完全に救うことがおできになります。
26このように聖であり、罪なく、汚れなく、罪人から離され、もろもろの天よりも高くされている大祭司こそ、わたしたちにとって必要な方なのです。27この方は、ほかの大祭司たちのように、まず自分の罪のため、次に民の罪のために毎日いけにえを献げる必要はありません。というのは、このいけにえはただ一度、御自身を献げることによって、成し遂げられたからです。28律法は弱さを持った人間を大祭司に任命しますが、律法の後になされた誓いの御言葉は、永遠に完全な者とされておられる御子を大祭司としたのです。

()23レビの系統の祭司・・・旧約時代の祭司はレビ族に独占されていた。なお、イエスはユダ族である(ヘブライ人への手紙714節参照)。

()28誓いへの御言葉・・・ヘブライ人への手紙721節によると、神は「あなたこそ、永遠の祭司である」と誓われた(詩編1104節参照)。

 

 〔エルサレムの神殿での、当時の宗教的指導者との対話の最後にあたる部分。〕

福音朗読        マルコによる福音書 

あなたの神である主を愛しなさい。隣人を愛しなさい。

(12章28b-34節)

マルコによる福音

 〔そのとき、一人の律法学者が進み出て、イエスに尋ねた。〕28b「あらゆる掟のうちで、どれが第一でしょうか。」29イエスはお答えになった。「第一の掟は、これである。『イスラエルよ、聞け、わたしたちの神である主は、唯一の主である。30心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』

31第二の掟は、これである。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つにまさる掟はほかにない。」32律法学者はイエスに言った。「先生、おっしゃるとおりです。『神は唯一である。ほかに神はない』とおっしゃったのは、本当です。33そして、『心を尽くし、知恵を尽くし、力を尽くして神を愛し、また隣人を自分のように愛する』ということは、どんな焼き尽くす献げ物やいけにえよりも優れています。」34イエスは律法学者が適切な答えをしたのを見て、「あなたは、神の国から遠くない」と言われた。もはや、あえて質問する者はなかった。

()29イスラエルよ~・・・申命記645節(第1朗読)の引用。

()31隣人を自分のように~・・・レビ記1918節の引用。

()33焼き尽くす献げ物~よりも優れています・・・ホセア書66節にもこのような考えが見られる。

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」201811 4 より)

2018年10月26日 (金)

2018年10月28日の「聖書と典礼」

2018年10月28日の「聖書と典礼」

「年間第30主日」 B

ダビデの子イエスよ、わたしを憐れんでください。

(マルコによる福音書1047節より)

 

 〔紀元前十世紀にイスラエルは南北二つの王国に分裂したが、北イスラエルは紀元前720年、アッシリア帝国によって滅ぼされてしまった。エレミヤ(南ユダの預言者、紀元前600年前後に活動)はこの個所で北イスラエルの回復を預言する。〕

第一朗読      エレミヤの預言

わたしは、目の見えない人も、歩けない人も、慰めながら導く。

(7章24節、914節)

エレミヤの預言

7主はこう言われる。
ヤコブのために喜び歌い、喜び祝え。
諸国民の頭のために叫びをあげよ。
声を響かせ、賛美せよ。
そして言え。
「主よ、あなたの民をお救いください
イスラエルの残りの者を。」

8見よ、わたしは彼らを北の国から連れ戻し
地の果てから呼び集める。
その中には目の見えない人も、歩けない人も
身ごもっている女も、臨月の女も共にいる。
彼らは大いなる会衆となって帰って来る。

9彼らは泣きながら帰って来る。
わたしは彼らを慰めながら導き
流れに沿って行かせる。
彼らはまっすぐな道を行き、つまずくことはない。
わたしはイスラエルの父となり
エフライムはわたしの長子となる。

() 7ヤコブ・・・北イスラエルと南ユダの共通の父祖。ここでは全イスラエルの意味。

() イスラエルの残りの者・・・この「イスラエル」は北イスラエルのこと。アッシリアに滅ぼされた北王国の人々はアッシリアに強制連行されたが、完全に滅んでしまったわけではない。この「残りの者」たちが再建される民の核になる。

() 8北の国・・・アッシリアの地

() 9エフライム・・・ヨセフの子の名前で、イスラエルの十二部族の一つ。北王国の中心部族となり、北王国の別名にもなった。ここでは「イスラエル」と同義。

 

 〔旧約の大祭司と対比しながら、新約の大祭司イエス・キリストについて語る。〕

第二朗読     ヘブライ人への手紙 

あなたこそ永遠に、メルキデゼクと同じような祭司である。

(5章16節)

ヘブライ人への手紙

1 大祭司はすべて人間の中から選ばれ、罪のための供え物やいけにえを献げるよう、人々のために神に仕える職に任命されています。2大祭司は、自分自身も弱さを身にまとっているので、無知な人、迷っている人を思いやることができるのです。3また、その弱さのゆえに、民のためだけでなく、自分自身のためにも、罪の贖いのために供え物を献げねばなりません。4また、この光栄ある任務を、だれも自分で得るのではなく、アロンもそうであったように、神から召されて受けるのです。
5 同じようにキリストも、大祭司となる栄誉を御自分で得たのではなく、
 「あなたはわたしの子、
 わたしは今日、あなたを産んだ」
と言われた方が、それをお与えになったのです。
6また、神は他の個所で、
 「あなたこそ永遠に、
 メルキゼデクと同じような祭司である」
と言われています。

() 3自分自身のためにも・・・罪を犯した祭司は、自分の罪のためにいけにえをささげた(レビ記4章3-12節)が、イエス・キリストは罪がない(ヘブライ人への手紙4章15節)。

() 4アロン・・・モーセの兄で、最初の大祭司。

() 5あなたはわたしの子~・・・詩編2編7節の引用。

() 6あなたこそ永遠に~・・・詩編110編4節の引用。この詩編は王であり、祭司であるメシアについて歌う。

() メルキゼデク・・・創世記14章17-20節でアブラム(アブラハム)を祝福したサレム(エルサレム)の王であり、「いと高き神の祭司」とも呼ばれている。

 

 〔イエスは十字架への道を歩み、弟子たちにも従うよう招くが、ここではいやされた盲人がイエスの道に従っていく。〕

福音朗読     マルコによる福音書

先生、目が見えるようになりたいのです。

(10章4652節)

マルコによる福音

46 イエスが弟子たちや大勢の群衆と一緒に、エリコを出て行こうとされたとき、ティマイの子で、バルティマイという盲人の物乞いが道端に座っていた。47ナザレのイエスだと聞くと、叫んで、「ダビデの子イエスよ、わたしを憐れんでください」と言い始めた。48多くの人々が叱りつけて黙らせようとしたが、彼はますます、「ダビデの子よ、わたしを憐れんでください」と叫び続けた。49イエスは立ち止まって、「あの男を呼んで来なさい」と言われた。人々は盲人を呼んで言った。「安心しなさい。立ちなさい。お呼びだ。」50盲人は上着を脱ぎ捨て、躍り上がってイエスのところに来た。51イエスは、「何をしてほしいのか」と言われた。盲人は、「先生、目が見えるようになりたいのです」と言った。52そこで、イエスは言われた。「行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」盲人は、すぐ見えるようになり、なお道を進まれるイエスに従った。

()46エリコ・・・ヨルダン川下流の町。エルサレムまで20キロメートル程の距離にある。

()47ダビデの子・・・イスラエルをローマ帝国の支配から解放してくれる理想的な王(メシア)はダビデ王の子孫から出ると考えられていた。バルティマイは人々がイエスのことをそう噂しているのを聞いていたのであろう。

()51先生・・・原語はアラム語で「ラボニ」(ヨハネ福音書2016節参照)。「ラビ(先生)」よりも強い意味で、「わたしの主」というような意味を持つとも言われる。

()52なお道を進まれる・・・直訳では「その道の中で」。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」20181028 より)

2018年10月19日 (金)

2018年10月21日の「聖書と典礼」

2018年10月21日の「聖書と典礼」

「年間第29主日」 B

人の子は、多くの人の身代金として

自分の命を献げるために来た。

(福音朗読主題句 マルコによる福音書1045節より)

 

 〔イザヤ書の第二の部分(40章~55章)には「主の僕の歌」と呼ばれるものが四つある。この箇所は第四の歌の一節。〕

第一朗読           イザヤ書 

彼は自らを償いの献げ物とした。彼は、子孫が末永く続くのを見る。

(53章1011節)

                             

 

イザヤの預言

10病に苦しむこの人を打ち砕こうと主は望まれ
彼は自らを償いの献げ物とした。
彼は、子孫が末永く続くのを見る。
主の望まれることは
彼の手によって成し遂げられる。

 

11彼は自らの苦しみの実りを見
それを知って満足する。
わたしの僕は、多くの人が正しい者とされるために
彼らの罪を自ら負った。

()10この人・・・次節の「わたしの僕」と同一人物。この苦しむ僕は預言者自身とも言われるが、イエスの受難と栄光の姿を思わせる。

() 償いの献げもの・・・元は「罪、とが」を意味することばで、「とがのための献げ物」をも意味した。律法によれば無傷の雄羊がささげられることになっていた(レビ記51426節参照)。

 

 〔ヘブライ書はイエスを「大祭司」と呼ぶ。このことばの中に、神への完全な従順と人々との連帯によって、神と人とを一つに結んだイエスの使命が示されている。この大祭司イエスによって、わたしたちが神に近づく道が開かれたということが、本書の中心テーマである。〕

第二朗読        ヘブライ人への手紙 

大胆に恵みの座に近づこう。

(4章1416節)

ヘブライ人への手紙

14 〔皆さん、〕わたしたちには、もろもろの天を通過された偉大な大祭司、神の子イエスが与えられているのですから、わたしたちの公に言い表している信仰をしっかり保とうではありませんか。15この大祭司は、わたしたちの弱さに同情できない方ではなく、罪を犯されなかったが、あらゆる点において、わたしたちと同様に試練に遭われたのです。16だから、憐れみを受け、恵みにあずかって、時宜にかなった助けをいただくために、大胆に恵みの座に近づこうではありませんか。

()15同情・・・本来の意味は、「同じ目にあうこと、苦難を共にすること」。

()16恵みの座・・・恵み深い神ご自身の象徴。

 

 〔三回目の受難予告に続く個所。十字架の道に無理解な弟子たちに対して、イエスはご自分の受難の意味を解きあかされる。〕

福音朗読       マルコによる福音書 

人の子は、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来た。

(10章3545節、 または 10章4245節)

マルコによる福音

35 〔そのとき、〕
ゼベダイの子ヤコブとヨハネが進み出て、イエスに言った。「先生、お願いすることをかなえていただきたいのですが。」36イエスが、「何をしてほしいのか」と言われると、37二人は言った。「栄光をお受けになるとき、わたしどもの一人をあなたの右に、もう一人を左に座らせてください。」38イエスは言われた。「あなたがたは、自分が何を願っているか、分かっていない。このわたしが飲む杯を飲み、このわたしが受ける洗礼を受けることができるか。」39彼らが、「できます」と言うと、イエスは言われた。「確かに、あなたがたはわたしが飲む杯を飲み、わたしが受ける洗礼を受けることになる。40しかし、わたしの右や左にだれが座るかは、わたしの決めることではない。それは、定められた人々に許されるのだ。」41ほかの十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネのことで腹を立て始めた。42そこで、
イエスは〔十二人〕を呼び寄せて言われた。「あなたがたも知っているように、異邦人の間では、支配者と見なされている人々が民を支配し、偉い人たちが権力を振るっている。43しかし、あなたがたの間では、そうではない。あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、

44いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。45人の子は仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのである。」

()37栄光をお受けになるとき~・・・この二人は、イエスがエルサレムに行き、この世の王となることを期待している。「右」「左」はその時に与えられる特別な地位のことである。

()38杯を飲み・・・ここでは苦しみを受けることを意味する。

() 洗礼を受ける・・・ここでの洗礼は、杯と同じく、苦しみや死を暗示する。

()45身代金・・・元来は、奴隷を開放してもらうために支払う代金を意味する。人を罪の奴隷状態から解放する神の業を指すようになった。

 

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」20181021 より)

2018年10月12日 (金)

2018年10月14日の「聖書と典礼」

2018年10月14日の「聖書と典礼」

「年間第28主日」 B

持っている物を売り払い、それから、わたしに従いなさい。

(福音朗読主題句 マルコによる福音書1021節より)

 

 〔「知恵の書」は紀元前一世紀、エジプトのアレクサンドリアでギリシア語を話すユダヤ人によって書かれたと考えられているが、この箇所はソロモン王(ダビデ王の子、紀元前十世紀)が語る形式をとっている。若くして王になったソロモンは、主から「何事でも願うがよい。あなたに与えよう」と言われたとき、長寿や富や敵の命を求めず、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた(列王記上3415節参照)。〕

第一朗読       知恵の書

知恵に比べれば、富も無に等しいとわたしは思った。

(7章711節)

知恵の書

7わたしは祈った。
すると悟りが与えられ、
願うと、知恵の霊が訪れた。
8わたしは知恵を王笏や王座よりも尊び、
知恵に比べれば、富も無に等しいと思った。
9どんな宝石も知恵にまさるとは思わなかった。
知恵の前では金も砂粒にすぎず、
知恵と比べれば銀も泥に等しい。
10わたしは健康や容姿の美しさ以上に知恵を愛し、
光よりも知恵を選んだ。
知恵の輝きは消えることがないからだ。
11知恵と共にすべての善が、わたしを訪れた。
知恵の手の中には量り難い富がある。

 

 〔荒れ野で神に反抗し、心をかたくなにしたイスラエルの民のように不従順になってはならない、と教えたのち、その根拠が語られる個所。〕

第二朗読     ヘブライ人への手紙 

神の言葉は、心の思いや考えを見分ける

(4章1213節)

ヘブライ人への手紙

                             

12 神の言葉は生きており、力を発揮し、どんな両刃の剣よりも鋭く、精神と霊、関節と骨髄とを切り離すほどに刺し通して、心の思いや考えを見分けることができ〔ます。〕13更に、神の御前では隠れた被造物は一つもなく、すべてのものが神の目には裸であり、さらけ出されているのです。この神に対して、わたしたちは自分のことを申し述べねばなりません。

()12精神と霊・・・両方とも人間を構成する要素の一つと考えられている。ここでは「関節と骨髄」同様、分け難いもののたとえであろう。

()13自分のことを申し述べ~・・・総決算をすること(フランシスコ会訳参照)。

 

 〔エルサレムへの旅、すなわち十字架に向かう道の途上で、イエスはご自分とともに歩むことを人々に求める。〕

福音朗読     マルコによる福音書

持っているものを売り払い、それから、わたしに従いなさい。

(10章1730節、 または 10章1727節)

マルコによる福音

17〔そのとき、〕イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」18イエスは言われた。「なぜ、わたしを『善い』と言うのか。神おひとりのほかに、善い者はだれもいない。19『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、奪い取るな、父母を敬え』という掟をあなたは知っているはずだ。」20すると彼は、「先生、そういうことはみな、子供の時から守ってきました」と言った。21イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」22その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。
23イエスは弟子たちを見回して言われた。「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」24弟子たちはこの言葉を聞いて驚いた。イエスは更に言葉を続けられた。「子たちよ、神の国に入るのは、なんと難しいことか。25金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」26弟子たちはますます驚いて、「それでは、だれが救われるのだろうか」と互いに言った。

27イエスは彼らを見つめて言われた。「人間にできることではないが、神にはできる。神は何でもできるからだ。」
28ペトロがイエスに、「このとおり、わたしたちは何もかも捨ててあなたに従って参りました」と言いだした。

29イエスは言われた。「はっきり言っておく。わたしのためまた福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子供、畑を捨てた者はだれでも、30今この世で、迫害も受けるが、家、兄弟、姉妹、母、子供、畑も百倍受け、後の世では永遠の命を受ける。」 

()17善い・・・教えを乞おうとする真摯な態度から出た言葉だが、次節でイエスがこの言葉を退けているのは、神ご自身とその掟に心を向けさせるためであろう。

()19殺すな~・・・出エジプト記201217節参照。十戒の後半、人間関係についての部分の引用である。

()21慈しんで・・・原語は「アガパオー」(愛する)。

() 天に富を積む・・・マタイ福音書620節、ルカ福音書1233節参照。

()24驚いた・・・イエスのことばは、財産を神の祝福のしるしと考える当時の常識を覆すものであった。

()30今この世で……百倍受け・・・一切を捨ててイエスに従う者は、「今この世で」人や物とのまったく新たで豊かなつながりを生きることになる、という意味であろう。

 

(オリエンス宗教研究所発行「聖書と典礼」20181014 より)

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