ペシャワール会 伊藤和也さんが遺してくれたもの、気づかせてくれたこと…
アフガニスタンで現地の人々と真に共に生きるNGO“ペシャワール会”の伊藤和也さんが誘拐され、遺体で発見された…。
今回のことで例の“自己責任”という極めて無責任な発言が出てくるんやったら…そんなことを知ったかぶりして言うような人こそ「現実を知らない」んやと思う。
ペシャワール会代表の中村哲医師は、ワタシがカトリック六甲教会で聴かせていただいた講演会での活動のきっかけについての質問に「主義主張や思想からではなく、通りかかって見てしまった以上、人間として素通りできなかっただけ」と答えてはった。伊藤和也さんはじめ、中村医師のもとには同じ思いをもっておられる方々が集ってはるんやろう。
伊藤さんの思い、彼の生きた意味は、伊藤さんのご両親が語っておられたとおりやと感じる。恨み言や後悔ではなく、しっかりと最愛の息子さんの生きざまを受けとめてはる…。
あれだけアフガニスタンの人々と深く結ばれて共に歩んではったのに誘拐され遺体で発見…本当に本当に残念な、悲しい結果や。ただ、果たしてこれも仕組まれとったんちゃうんか…という思いがよぎる。考え過ぎやろか?
今、テレビや新聞といったマスメディアを通してはイラクやアフガニスタンの“真の現状”を知ることはでけへん。私利私欲のために戦争を引き起こす、ごく一握りの人間と彼らが属する強大な武力をもった国家に都合よく歪曲された“情報”が意図的に流布されてる…かつての“大本営発表”のように…。
もはや現実を、真の情報を伝えてくれるのは、いのちがけで現地を見、現地の人々とことばを交わした人々(=この国ではその身に何か起これば「自己責任」と非難されてしまう人々)だけや。
戦争で儲ける連中や国家は、そういった現地で現実を受けとめ、それを伝えようとする人々=真実を知る人々を快く思ってへん。だからこそ自己責任論も流布された。そのような平和の芽を握りつぶし、愛を嘲笑し、いのちを踏みにじる力が、今回のペシャワール会のように現地の人々と深い信頼で結ばれて活動しているグループを敢えてターゲットにし「彼らでさえも危険に曝されてるんやから、他のNGOや民間活動家たちはサッサと現地から出ていかんかい!!」と“身を案じるふり”をしながら介入し圧力をかけ(身を案じるどころか、脅迫やな…)、現実を知る人々を追い出すための“口実づくり”を行ったんとちゃうんか…。9.11かて仕組まれた“自作自演”の口実づくりやったことはほぼ確実なんやし…。
今のイラクが、アフガニスタンがなぜ“あの国”に攻撃されるようになったんか、現代の戦争のシステム…それらを知ろうとせず、学ぼうとせずに「もっと現地の事を調べて行けば良かったのに」とか「もっと安全なところでボランティアやってりゃよかったのに」ともっともらしく言う人こそ“自己責任”が問われてるんやないの…。
最後になりましたが、伊藤和也さんのご冥福を、そしてその生涯をしっかりと受けとめられたご家族のために、心よりお祈り申し上げます。